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10話 VS歩く病原菌

戦闘回はけっこう真面目

反骨竜。

モンスター達の亡骸が集まり、竜の姿を成したアンデットモンスター。

周囲のものを腐らせ、吐く息は猛毒。

並の冒険者では近づくこともできない。

その高難易度モンスターが今、私の前で森を腐海にしている。

コロボックルは、こいつを倒して欲しくて私を呼んだのだろう。

この森で最強なのは私だろうし、私だってこいつを無視できない。

さっさと倒しておきたいところだが‥.


「アンデットモンスターかぁ‥.私浄化魔法使えないんだけど、相性悪くない?」

アンデットモンスターは、プリーストなどが使う浄化魔法を使えば割と簡単に倒せる。

しかし当然私は浄化魔法など使えるはずもなく、必然的に力押しになる。

‥.まあなんとかなるか!


「まずは小手調べからいこうか、『ロックホーン』!」

地面から棘を出し、反骨竜を串刺しにしようとするが‥.

奴は発動よりも早く動いて、魔法を避けた。

「っ!思ったより速い!」

中身が無いからか?それにしても反応が早かったような‥.

「じゃあ‥.『ストーンシャワー』!」

石の雨を降らせ、広範囲を攻撃する。

反骨竜は反応したが、流石に避けられなかったのか無数の石を浴びる。

しかし奴は気にも留めず、目の無い顔をこちらに向け、カロロ、と不気味な声をあげる。

声帯無いのにどうやって、なんて野暮なつっこみはしない。する暇も無いしね!


「カロロァァァ!」

反骨竜が叫び、口から紫のガスが出てくる。

やっばい、毒ブレスだ!耐性無いぞ!

慌てて木に飛び移り、奴と距離を取る。

ブレスは速度は遅かったが、それに飲まれた植物は大木であろうとたちまち枯れていった。

冗談じゃない、あんなの食らったら肉も骨も溶けるぞ。

取り敢えず一旦奴から隠れて対処法を探そう。

腐臭を感じながら、『隠密』を使って場を離れる。


さて、どうするか。

半端な魔法じゃあ避けられるし、ダメージもほとんどない。

かといって広範囲高威力の魔法を使えば、あいつ以上に森を壊してしまう。

毒を纏っているから接近したらこっちがやられる。

『龍化』を使えば‥.いやだめだ、結局耐性ないじゃん。

一か八か、毒を耐えれるかに賭けるか?それなら、森を犠牲にした方がましなような。でもそうなるとコロボックルに敵認定されて、森での暮らしがほぼ無理になる気がする。

この安住の地を捨てるのは惜しいし、何よりあいつが原因ってところが腹立たしい。

あの反骨竜は確実に倒す。私の平穏のためにも。

そう決意を固めた、その時


「カロロロ‥.」


‥.‥.‥.奴の声?それにいつの間にか腐臭が‥.。

『敵感知』で調べると、奴はかなり近くに来ていた。

位置がばれてる‥.?隠密使ってるからそれは無いと思うんだが。

しかし奴は、真っ直ぐこちらに向かっている。

おいおい、探索系スキルでも持ってるのか?モンスターもスキルを持てるのは知ってるが、アンデットがどう頑張ったらそんなの取得できるのさ。

ってか、その前にここを離れないと!


また距離を取りつつ、反骨竜の倒し方をかんがえる。

まず、アンデットモンスターがどういったものだったか‥.。

確か感覚は無くて、生命力と魔力を探知して行動してるんだったな。お陰でダンジョンでは、壁に向かって歩くゾンビをよく見るとか。

そこまで考え、ある可能性が浮かび上がる。


「‥.まさか、いや、試す価値はあるね」

これが正解なら、打つ手はある。

反撃開始だ、くそアンデット。




「カロロロ‥.」

少し離れ、反骨竜と対峙する。

相変わらずの腐臭だが、臭いに反して腐食の範囲は広くない。せいぜい奴の半径3メートルってとこか。


「まずは、目から潰してやる!」

『龍化』により出した翼を大きく羽ばたかせる。

強風ではあるが、ダメージを与えるほどではない。狙いは他にある。

「『ロックバレット』!」

岩の砲弾を数発、ばらけるように発射する。

さっきの反応速度なら十分避けられるはずだが、

ドゴゴンッ!と岩が反骨竜に命中する。

当然奴は気にしていないが‥.

「当たったか。どうやら合ってたみたいだね」


あいつはアンデットと同様に、生命力と魔力で周りの様子を探っている。

『隠密』は気配を消すスキルだから、アンデット相手には意味が無い。

しかし、ここは森。いくら腐敗させようと、周りは生命力に溢れている。つまり、あいつの生命力レーダーでは私は埋もれてしまい、見つけることはできない。

だからもう一つの魔力レーダーで私を感知しているはずだが、生命力レーダーを切っている現在、逆に魔力レーダーは普段より鋭敏になっているのだ。

丁度人間が、目を瞑れば耳が良くなるのと同じように。

鋭敏になっているから、発動前の魔法にも反応できたわけだ。

それさえ分かれば簡単だ。そのレーダーも潰してしまえばいい。

さっき羽ばたいた時、風に乗せて私の魔力が込められた鱗をばら蒔いておいた。

普段の感度なら見分けられるだろうが、今の状態ならその程度の魔力でも判別が付かないだろう。

目の良さが命取りってね。


さて、確認は出来た。対処される前にやるとしますか!

「『グラヴィティ』!」

何倍もの重力を受け、反骨竜が地に伏す。

抵抗しようとするが、こうなってしまえば私の勝ちだ。

「『プレートプレッシャー』ッ!」

唱えると、反骨竜の左右の地面がめくれあがり、


「カロロォッ!」


奴を挟み込んで、粉々に砕いた。



「ふぅーっ、流石アンデット。正攻法じゃ難しいね」

反骨竜の死体の後には、骨だけが残っていた。

もう腐臭はしないから、無事やっつけたかな。


帰ろうとすると、視線の先にコロボックルがいた。

そいつらは何も言わず、そのまま森の奥へと消えていった。

全く、礼ぐらい言って欲しいものだ。喋れないなら、せめて態度で示して欲しい。

「まあこれで、認めては貰えたかな?」

私は森の敵じゃないって。




翌日、家の前に沢山の果実や食用の植物が置いてあった。笠地蔵かよ、あいつら。


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