プロローグ
初投稿です。色々と拙い作品ですが、よろしくお願いします。
「...ここは...?」
目が覚めると、そこは真っ白の空間だった。
見渡しても、変わり映えのない白の景色。
雪原かと思いたかったが、自分の状態が無情にもそれを否定していた。
「手も足も無い...」
自分は光の珠のような姿になっていた。こうして自分の声(?)が聞こえるのか不思議な位だ。
「待って待って、私さっきまで何してたっけ?」
必死で頭を動かす。思い出せ私、体が無くても考えることは出来る。
「たしか、学校の帰りだったよね」
そう、ごく普通のJKである私は友達と別れて家に向かってたんだ。そして交差点を渡ったとき、横からトラックが......ってそれって
「私、轢かれてんじゃん!」
そうだ、その時すっごい激痛がして、周りからは悲鳴が聞こえて...。
あの時は死を悟ったなぁ...カッコつけて辞世の句でも考えてみたり。まぁさっきの事なんだけど。
この記憶が間違いじゃなければ、私は死んだことになる。だって凄い血出てたし、手足の感覚無かったし。あれじゃあ生きていても、後遺症とか残るだろう。車椅子生活は勘弁願いたい。
「ん?じゃあここって天国?」
なんか白いし。少なくとも地獄では無いだろう。これでも生前の行いは良い方だと自負している。
天国かぁ...考えたことはあるけど、まさかこんなに早く逝くことになるとは思わなかったなぁ。でも平和なイメージだし、何とかなるでしょ。
そう楽観的に考えていると、
「いいえ、ここは天国ではありません」
突然自分以外の声が響いた。
「な、何!?誰かいるの!?」
慌てていると急に目の前が光り、人形のシルエットが出てきた。それは全体が白く、顔も口のような部分しか分からなかったが、長い髪と曲線のあるボディが、女性であることを表していた。
「驚かせてしまったようで申し訳ありません。
私はサリア、女神をやっております」
「女、女神ぃ!?」
か、神様かぁ...いよいよ自分が死んだことに実感が湧いてきたなぁ。
「もう理解されているようですが、あなたは残念ながら死んでしまいました。短い時間でしたが、お疲れ様でした」
サリアと名乗った女神が、キッパリと告げる。
そっかぁ、死んだかぁ…短かったけど、楽しい人生だったなぁ。親に色々出来なかったけど、概ね満足だ。今は死んだことを受け入れよう。
「分かりました、それで私が行くのは天国ですか、地獄ですか?あ、それともそういう概念が無いとか?」
そう聞くと、女神は心無しか困ったような顔をした。
んん...?何だろ、何か言いにくいことでもあるのかな...。はっ!まさか、罪深すぎて、貰い手がないとか!?ど、どうしよう、私ピンチ!?
私が慌てているのを察したのか、
「い、いえ!あの、あなたに問題が有るわけではありませんから!唯、その...このままだと、あなたは輪廻転生の輪に入れないんです」
「輪廻転生...?聞いたことあるような」
死んだら別の生物になるとか言うやつか。それに入れないってつまり、
「私の人生終了?」
「いえ、死んでいるので人生は終わっています」
ですよね。じゃあ何が問題なんだろ。
「通常、死んだ者の魂は冥界で検査を受けたあと、元の記憶を消去し、新しい生命として生まれ変わります。それを何度か繰り返すと魂に限界が来て、壊れる前に天国、または地獄に送られます」
へぇー、すぐに天国行きじゃないんだ。
「ですが、生まれ変われるのは、生前に天寿を全うした魂だけなのです」
「天寿?」
言葉だけは知ってるな 。
「はい、そうでなければ悔いを残したままの転生になってしまい、魂に異常をきたしてしまうのです」
バグみたいなものか。天寿の基準がよく分からないけど、生まれ変われるならまっさらなほうがいいよねぇ...ん?
「じゃあ私はどうなるんですか?」
人生途中で終わりましたよ。
「その、天寿を全うしていない扱いになります」
申し訳無さそうに女神が言う。そっかー、私、生まれ変われないのかー、はっはー‥.‥.
「救済処置とかありませんかぁぁぁぁ!?」
私は(気持ち)土下座した。
「あ、有りますから!有りますから落ち着いてください!」
女、女神様...!なんてお優しい人だろう。自然と涙が出そうになる。
「で、何をすれば?ひたすら石でも積むんでしょうか?」
「い、いえ、あなたには違う世界へ転生して貰います」
ちょっと引かれたような、って今何て?
「あの、転生はできないはずでは?」
「普通の転生ではありません。説明しますと、魂を初期化せず、記憶を持ったまま0から転生して貰います」
記憶を持ったまま...?それだとどうなるんだろ。
「異常が出るのは、前世と今世、二つの意識が存在するからです。初期化しなければ、異常は有りません」
おお、その手があったか!って
「じゃあ最初から初期化しなければいいのでは?」
そう疑問を投げ掛けるが、
「前世の記憶を持ったままだと、様々な問題が起きるのです」
「たとえば?」
「省略しますが、その世界それぞれの魂魄情報による行動は、同じものはないとして組まれ記録されているので、初期化しない者が大勢いると・・・」
「分かりました、分かりましたからもういいです」
さっぱりわからん。とにかく話を聞こう。
「話を戻しますが、私は転生してなにをすれば?」
そんなリスクが有りながら私を転生させると言うのなら、相応の行動をしなければ...
「いえ、何も」
「え?」
「特別なことは為さらなくて結構です」
ど、どういうこと?リスクないの?
「実は天寿というのは、初期化しなければ次の人生で果たしても良いのです」
ここで天寿が出てくるのか。
「なのであなたには、記憶を持ったままの次の人生で天寿を果たしてもらいます」
ああ、コンティニューってことか。でも良かった、生きるだけで良いんだ。...前世ではそれすら出来なかったけど。
「あの、同じ世界はだめなんですか?」
出来ればまた日本がいいのだけれど。
「それは出来ません。何故ならその世界の...」
「そ、その説明はいいです!」
どうせ聞いても分からないだろうし、何となくでいいや。
すると女神が、手をパン、と鳴らした。
「では、転生にあたってあなたに一つ贈り物があります」
「え!?贈り物!?」
それって俗に言う、チートってやつでは!?
「これは、あなたが天寿を全うできるよう、そしてより後悔のない人生を送られるためのものです」
それってつまり、保険ってこと?過保護じゃなかろうか。
「贈り物の内容はこちらで決めさせて頂きますが、転生にあたってご要望はありますか?」
お、要望聞いてくれるのか。じゃあ...
「新しい自分に、家族がいてほしいです」
私は迷いなく答えた。
だって、一番大事だと思うから。
「...分かりました。それでは転生を行います」
女神様がそう言った途端、周囲に魔方陣が浮かび上がった。おお、それっぽい。
「あなたの次の人生に、祝福があらんことを」
私が光に包まれていく。違う世界とのことだが、悪いことにはならないだろう。これでも適応力は高い方だ。何だか安らぎを感じながら、私の意識は落ちていった。
胸にあるのは、後悔でも不安でもなく、新しい人生への期待だけだ。
お読み頂きありがとうございました。
のんびり不定期更新の予定ですが、お付き合いいただければ幸いです。




