1.運命が動き出す
桜が咲き始める四月のこと俺は高校2年生に進級する。新しい生活がはじまることと後輩ができることがとても嬉しかった。
「おっはよぉーいっちっくっーん!」
「ああ、千里香。おはっ((」
いきなり飛びついてきた千里香を支えることなど俺には無理なことで挨拶の途中で倒された。くそっ。はしゃぎすぎだこいつは
「ありゃりゃ」
「ありゃりゃじゃねぇよ!あぶねぇだろ!何回目だよ!」
「んもーなにさ~」
頬をぷっくりとふくらませ怒るようにしてる。少しドキッとしたのは内緒だ。
「そんなの数えてるわけないでしょ?」
ふっ。甘かった。俺は甘かった。こいつはそんなにヤワじゃない。もっと叱ってやろうか
「そうだぞ一そんなの数えてるわけないだろ」
「千尋!?お前なぁ止めてくれたってよかったろ」
「よっおはよう一」
軽い挨拶をされ話を流された。俺らはいつも通りの通学路をいつも通りの感じで登校していた。こんな風に楽しくやっていけるのはこの双子のおかげだろう。幼い時両親を亡くしてから双子とその両親には沢山お世話になったからな。これでも感謝はしてるつもりだ。
「はあ...毎度毎度」
「まあまあ一早く行こーぜ?」
「おっ!それじゃ競争だね!いちくん!千尋!」
千里香が屈伸やら準備運動をしはじめた。
「負けたらジュース1本な」
「言ったな?千尋を負かしてやる」
不敵な笑みを浮かべてやったぜ。千尋のやつめ。余裕こいてやがる。無性に腹が立つな。絶対勝ってやる。
「OKんじゃ、よーいドン!!」
俺達は駆け出した。新しく始まる学校へと……
ハァハァ肩を上下に揺らしながら俺は校門をくぐった
「ちくっハァしょハァ」
「おっそいぞ!いちくん」
「遅かったな一」
こいつら余裕だな。心の中で2人とも転べば良かったのに。と思っていたが、まさか俺が転ぶとは…情けない
「おーい、いちくんクラス分けでてるよー」
「おー、今行く」
掲示板へ駆け寄ると3人の名前は同じクラス内にあった。まあ、全員が、進学コースを選んだからな。
「さてと、千里香、一早く教室へ行こうぜ。入学式の前にほかの奴らとも話しときたいから」
「おっけー。んじゃ行くか」
俺はどんな後輩たちが入ってくるのか楽しみだった。千里香も同じようにワクワクしてるみたいだ。
「おっはよー」
元気に教室はいった千里香にたいしてクラスのみんなは
「千里香じゃん!おはよ!」
「ちーちゃんおはよ~」
「いつも元気だな」
など、色々な挨拶がとびかっている。本当に人気者だな。
「ホントあいつは人気者だな」
「だよな〜。つか久々だな新山」
「ハッハッハ〜休みの間寂しくなかったか?とりあえず今年もよろしくな!」
コイツは1年の時に初めて声をかけてくれたヤツ。いい奴だなって思ったら、ただただ騒がしいだけだった。春休み明けということもあって話が弾んでいた。そんなことをしていたら、入学式の時間になった。入学式は長い話が多くて、学生にとっての地獄といえよう。俺も正直眠い…
「新入生代表挨拶
新入生代表 柊麻琴」
「はい」
おぉ、ヤバっ、綺麗、などと小声ながら歓声があがっている。確かに、綺麗な黒髪が伸びたスラッとした体。誰が見ても可愛いと言うだろう。
「…新入生代表挨拶といたします」
おっと、そろそろ終わりだ。なんやかんやと考えているうちに、終わりに近づいてたんだな。