〜なんば〜6-(13)〜
よろしくお願いいたします。
「大変長らくお待たせ致しました。では、新入生代表の答辞。」
舞台中央に進み彼女は、国旗、招待客、理事長、校長、教頭に向かって頭を下げ、生徒に対峙する。
その手には、何も持っていない。
(っつ!やっぱり!彼女は何も知らされてなかったのか…
いや、担任に聞いたと言っていたな…
それでも、早くて今日朝方だろう…
くそっ!このことは必ず会長に報告だな…
しかし、止めた方がいいのだろうか…)
そんなことをグダグダ考えていると…
「春麗らかな、桜舞い散る今日この良き日に、私たちは高校入学という新たな門出を迎えました。…」
と、彼女の鈴を転がすような声が聞こえ始めてきた。
驚き顔をあげ、彼女を見ると…
「…始めてのことばかりで、慣れない事も多いかもしれません。しかし、そんな時には、優しい先輩達や、頼りになる教師の方々にご指導、御教授願えたらと存じ上げます。…」
少し緊張した表情で、しかし、真っ直ぐに前を見つめる横顔が目に入った。
そんな彼女に、
(参った。降参だよ。君は、凄い。
今の俺には、君の隣に立つ資格がまるでないように感じるよ。
俺が追いつく頃には、君はもっと遠くに行ってしまうんだろうな…
だけど…俺は諦めない!君に相応しくなるまでは!
それまで…君の隣は空けといて欲しいな…
クスッ。そんなことを考えたらいけないかな…
…頑張ろう…)
俺が胸の中で誓いを立てている間に、彼女の答辞は終わりに差し掛かっていた。
「…最後に、私たちはまだ飛び立つ前の雛鳥です。それ故、この学び舎で色々なことを知り、学び、そして世界に羽ばたいて行ける立派な羽を育てて行きたいと思います。どうか私達の事を暖かく見守り、時には叱り、時には励まして下さいますよう、皆々様がたにお願い申し上げます。大変長らくお話してしまいましたが、ここで私からの答辞を終えさせて頂きたいと思います。
新入生代表、神代 美穂。」
話し終えると、沢山の拍手が体育塔に響き渡った。
俺も惜しみなく彼女に拍手を送る。
鳴り響く拍手の中、国旗、招待客、理事長、校長、教頭頭を下げ彼女はこちらに戻ってくる。
お疲れ様と声を掛けたが、舞台上にて理事長が暴れ始めていた為、そこそこの挨拶で彼女は自分の席に戻ってしまった。
もう少し話していたかったのに…
(あんのクソ理事長!
余計なことばっかりやりやがって!!)
なにやら教頭が早く進めろと言ってきた。
イラっときたので、
「失礼ですが、理事長。今は入学式です。
もう少し常識を持って行動して下さい。
大変お騒がせ致しました。
続きまして…」
そう、放送してやったら案の定、顔を真っ赤にした理事長がこちらを睨んでいた。
しかし、今が入学式の最中であることを思い出せたのか、席に座らせようとする校長の手を乱暴に振り払い、ドスンと椅子に腰掛けた。
本当に何でこんなやつが理事長なんだろうかと疑問に思いながらも、式はその後何事もなく、恙無く終わった。
退塔して行く新入生たちを拍手で見送りながら、彼女の姿を捜す。
(いたっ!クラスはSクラスか…
流石だな…いや、当たり前か…
頑張ってね…
君にとっての高校生活が、楽しいものであることを祈っているよ…)
そう、赤間は心の中で声を掛けるのだった…。
赤間視点やっと終わりです!
ここまでお付き合いくださり、誠にありがとうございます。
次回からは、また、主人公視点に戻ります〜^ ^
誤字に気がついた方!直ぐに私めにご報告下さいませ!
急いで訂正致します!




