序幕
核弾頭が仙台の上空で炸裂した瞬間、佐藤千夏は教室の机に突っ伏して居眠りをしていた。
窓ガラスは零点三秒で粉々に砕け散り、熱波と粉塵が教室に流れ込み、机と椅子は玩具のように跳ね飛んだ。彼女は誰かに襟を掴まれて廊下へ引きずり込まれ、耳元では悲鳴とガラスの破片が壁に突き刺さる音が鳴り響いた。我に返った時には、校舎の半分が暗闇に沈んでいた。
それは二年前のこと。
今、佐藤千夏は十六歳。身長百五十七センチ。黒いショートヘアを黒いヘアバンドで一つに束ねている。彼女は仙台女子商業高等学校の屋上に立ち、M4カービンを手にしていた。銃床を肩に当て、銃口を屋上の低い壁の外側に向けている。制服は学校指定の冬服——白いセーラー襟のシャツ、濃いグレーのニットベスト、紺色のプリーツスカート、黒のニーソックス。その上から、地下倉庫で見つけた迷彩のタクティカルベストを着込み、胸元に予備マガジンを三本、ベルトにはグロック17とタクティカルナイフを下げていた。
ヘルメットはない。倉庫に残っていた最後の二十個は、狙撃手と突撃隊に配分され、偵察小隊には防弾ベストしか回ってこなかった。
「千夏、またボーッとしてる」
通信イヤホンから、冷静な声が聞こえた。高橋澪——彼女の相棒であり、中等部時代からの友人だ。澪は彼女より頭半分ほど高く、ショートカットで、いつも冷たい目をしている。でも千夏は知っている。澪は自分よりも怖がりで、任務に出る前は必ず三回装備を確認し、一発の弾がマガジンに詰まっていないかまでチェックする。
「ボーッとしてない」千夏は声を潜めて答えた。「東側の通り、十時の方向。さっき反射があった」
「ガラスじゃない?」
「かもしれない。でも、そうじゃないかもしれない」
仙台市の廃墟が、屋上の下に広がっている。まるで碾かれた骸骨のように。かつて栄えた青葉区の商店街は、ねじ曲がった鉄骨と半壊したコンクリートの壁だけを残し、路上には錆びた車が放置され、時折野犬が割れたショーウィンドウから顔を出し、どこから掘り出したのか骨をくわえている。核爆発後の一年目は、街からまだ銃声や叫び声が聞こえた。二年目になると、すべてが静かになった。風が空っぽのビルを通り抜ける時のかすかな唸りだけが残った。
静けさは良いことじゃない。静けさは、生き残った者たちが音を立てないことを覚えたという証拠だ。
千夏が所属する仙台女子商業高等学校、通称「仙商」は、この廃墟に残った数少ない生存者拠点の一つだった。核爆発の時、学校は高台にあり建物も頑丈だったため、本館と体育館が奇跡的に残った。地下倉庫には、核戦争の影が忍び寄る時代に文部科学省が秘密裏に配布していた緊急物資が眠っていた。M4カービン百二十丁、弾丸二万発、グロック17拳銃四十丁、防弾ベスト六十着、タクティカルヘルメット二十個。軍服はない。学校は生徒全員に制服の着用を義務付けていた。だから少女たちは、JK制服の上から防弾ベストを着て、タクティカル装備を身につけ、重いライフルを手に取るしかなかった。
彼女たちは「武装JK」と呼ばれている。
仙商の最高指揮官は結城綾。三十五歳。体育教師出身で、陸上自衛隊で三年間衛生兵を務めた経歴を持つ。核爆発後、最初に生徒を避難させ、最初に銃を手にした人物だ。六百人以上の生存少女を六つの戦闘小隊に分け、各小隊に十人の班、三人の火力班を置いた。毎朝五時に起床して走り込み、午前中は射撃と戦術訓練、午後は情報偵察と野戦医療を学び、夜は交代で見張りに立つ。
「私たちは軍隊じゃない」結城綾は最初の戦術講評で班長たちに言った。「軍服もない、ヘルメットも足りない、補給もない。でも、軍隊より厳しくならなければならない。なぜなら、私たちの後ろには学校全体が——そして銃を取れなかった子供たちがいるからだ」
千夏は第三偵察小隊の隊長だ。相棒の高橋澪は副隊長。二人は中等部時代から同じクラスで、核爆発の日、澪は真っ先に千夏を押し倒し、自分の体で飛び散るガラスを防いだ。その日から、二人は一度も離れたことがない。
仙台市には仙商だけが生き残っているわけではなかった。
仙台第一高等学校、通称「仙一」は、仙商からわずか三キロの距離にある。核爆発後、彼女たちは旧仙台市消防局の倉庫を占拠し、より充実した装備を手に入れた。仙一の生徒は完全な防弾装備を持ち、廃墟から掘り出した重機関銃まで保有しているという。二校の関係は、最初の二ヶ月間の相互扶助の後、急速に悪化した。最初の衝突は核爆発後三ヶ月目、浄水フィルターの争奪が原因だった。その衝突で、双方に一人ずつ死者が出た。
それ以来、仙商と仙一は敵同士になった。枯渇しつつある食料、飲料水、医薬品、弾薬を奪い合うため、二校は現在まで続く「学校間戦争」を繰り広げている。
そして二校の廃墟の間には、さらに危険な者たちがいた。放浪者たちだ。
彼らは核爆発後の無組織の生存者で、その大半は成人男性。固定拠点を持たず、仙台市の廃墟をさまよい、拾い集め、強奪し、はぐれた武装JKを狩ることで生計を立てている。男女比が極端に崩れた核戦後の世界で、女性は極めて希少な資源となっていた。放浪者が武装JKを襲う目的は、武器や弾薬の強奪だけではない。時には捕虜を拠点に連れ帰り、性欲のはけ口や繁殖の道具として扱うこともあった。
仙商と仙一の戦争は、決して学校同士の戦争だけではなかった。
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「千夏、東側の通り、安全確認。ガラスの反射、敵じゃない」澪の声がイヤホンから聞こえ、千夏の思考を遮った。
「了解。前進を続ける」
千夏は屋上の低い壁を乗り越え、錆びた非常階段を伝って降りた。その動きは手慣れていた。この半年、毎日のように廃墟を歩き回り、すべてのビルの非常階段、すべての割れた窓、すべての身を隠せる隅を、頭に叩き込んできた。澪はその後ろにつき、二人の距離は常に五メートル以内——結城綾教官が繰り返し強調した戦術規律だ。偵察小隊は五メートル以上離れてはならない。待ち伏せに遭った時、三秒以内に十字砲火を形成しなければならない。
今日の任務は仙台市北部の廃商業地区の捜索だった。情報によれば、未開封の缶詰と飲料水がまだ残っている可能性がある。仙商の食料備蓄は警戒線に近づいていた。結城綾は昨日の作戦会議で、二週間以内に新たな物資源を見つけられなければ、学校は全員の配給を削減せざるを得ないと明言した。
配給の削減は、誰かが餓死することを意味する。それはまだ戦闘力のない下級生かもしれない。以前の戦闘で負傷し、任務を遂行できない傷病者かもしれない。千夏はそんな日を見たくなかった。
二人は瓦礫で塞がれた路地を抜け、横転したバスを二台迂回し、商業地区の端にたどり着いた。ここはかつて仙台で最も賑やかなショッピングセンターだった。今は巨大なコンクリートの骨組みだけが残っている。ガラスの外壁はすべて砕け、中は真っ暗な階層が覗いている。天井からは切れた電線と割れた看板がぶら下がり、風が吹くたびに軋む音を立てた。
千夏は右手を上げ、停止の合図を出した。澪は即座に壁に張り付き、HK416を構え、銃口をモールの入口に向けた。
千夏は見た。モールの二階の割れた窓の奥に、黒い銃身があった。
それはM4カービンの銃身だった。仙商の制式武器だ。
千夏の心臓が早鐘を打ち始めた。つまり、以前ここに仙商の偵察兵が来ていたということだ。その銃の持ち主は、すでに死んでいるか、あるいは暗い隅で救助を待っているか。
「澪」千夏は通信イヤホンで低声に言った。「中に入って確認する。警戒を怠らないで」
二人は壁に沿ってゆっくりと移動し、モール側面の破れた穴から中に入った。中は暗く、天井の亀裂から差し込む数筋の陽光が、空気中に舞う埃を照らしているだけだった。千夏はタクティカルライトを点け、光を棚、倒れたカウンター、床に散らばった商品の包装の上を走らせた。
そして彼女は見た。
モールの奥の隅に、人が倒れていた。仙商の制服を着た少女だった。白いセーラー襟のシャツは血で暗赤色に染まり、紺色のプリーツスカートは大きく裂け、腿に巻かれたタクティカルホルスターは引きちぎられていた。両手は後ろで縛られ、手首には深い縄の跡が残っている。
彼女の胸元では、防弾ベストのプレートが外され、シャツが引き裂かれ、露出した胸には大量の血迹と傷口があった。それは銃弾によるものではなかった。刃物で切られた跡だった。一本一本、横七竖八に、まるで誰かが彼女の生きているうちに、胸に何かを刻みつけたかのように。
千夏の胃が激しく掻き回された。彼女はしゃがみ込み、懐中電灯でその顔を照らした。
それは知っている顔だった。山田葵。第三偵察小隊の隊員で、千夏より一つ下の学年。核爆発前はバスケットボール部のマネージャーで、明るい性格で、いつも笑っていた。前髪はいつもきちんと整えられ、休憩時間には仲間たちに歌を歌って聞かせていた。
今、彼女は床に横たわり、目を大きく見開いていた。瞳孔はすでに散っている。唇はわずかに開かれ、何かを言おうとしているようだったが、もう声は出ない。
千夏は手を伸ばし、その目を閉じさせようとした。手が震えていた。
「千夏」澪の声が背後から聞こえた。とても小さかった。「触らないで。彼女にブービートラップが仕掛けられているかもしれない」
千夏は手を引っ込め、一歩後退した。澪の言う通りだとわかっていた。廃墟では、死体がしばしば敵によって罠に変えられる。手榴弾や爆薬を縛り付け、遺体を収容しようとする仲間を待ち伏せるのだ。彼女はそんな死体を何度も見てきた。
それでも彼女は、山田葵の顔を見つめてしゃがみ続けた。
「彼女……一昨日、私に言ったんだ。この任務が終わったら、後方支援に異動したいって」千夏の声は掠れていた。「もう人を殺したくないって」
澪は何も言わなかった。ただ千夏の背後に立ち、HK416の銃口をモールの入口に向けていた。
沈黙が長く続いた。
やがて千夏は立ち上がった。山田葵のタクティカルベルトから最後の二つのマガジンを取り出し、自分のベストのポケットに入れた。それからバックパックから清潔なタオルを取り出し、そっと山田葵の顔にかけた。
「行こう」千夏の声は静かだった。自分でも驚くほど静かだった。「物資の捜索を続ける。彼女は……もう私たちと一緒に帰れない」
二人はモールの中をさらに三十分ほど捜索し、未開封の缶詰数箱とミネラルウォーター十数本を見つけた。千夏はこれらの物資の座標を記録し、後続の輸送小隊が回収に来るのを待つことにした。
モールを出た時、夕日が沈みかけていた。仙台市の廃墟の輪郭が夕闇の中でひときわ荒涼として見え、遠くの核爆発のクレーターはまだかすかな放射線の光を放っていた。
「千夏」澪が突然口を開いた。
「うん?」
「私たち、最後まで生き残れると思う?」
千夏は答えなかった。遠くの地平線を見つめていた。そこはかつて仙台のランドマークだった。今は半分崩れた鉄骨だけが残っている。
彼女は山田葵を思い出した。二ヶ月前に戦死した鈴木結衣を思い出した。半年前、物資争奪戦で仙一に捕まり処刑された松本愛を思い出した。あの少女たちはみんな、自分と同じだった。JK制服を着て、ライフルを手に、この廃墟で生き抜こうとしていた。彼女たちの誰もが、いつかの夜、宿舍のベッドの上で、同じ問いを抱いたことがある。
「わからない」千夏はようやく言った。「でも、私たちが生きている限り、歩き続けなければならない」
彼女はボルトを引き、一発の弾を薬室に送り込んだ。
「行こう。帰る」
二人は来た道を戻っていく。夕日が二人の少女の影を長く伸ばし、仙台市の砕けた街路に落としていた。
そして遠くの廃墟の奥深く、一対のピンクの瞳がスコープの向こうから彼女たちを見つめていた。白河澪。十六歳。ピンクの長髪、青い目。仙台第一高等学校最強の狙撃手。総キル数は百人を超える。彼女は改造された車椅子に座り、膝には毛布をかけ、手にはバレットM82A1を握っていた。
スコープの十字線は、佐藤千夏の後頭部を正確に捉えていた。
「目標を確認」白河澪は通信イヤホンで低声に言った。
「仙商第三偵察小隊、隊長佐藤千夏で間違いない」と、もう一方の松本香織が答えた。「撃つ?」
白河澪の指がトリガーにかかった。彼女は二年前を思い出していた。仙商の偵察兵に捕まったこと。あの三日間、椅子に縛られ、電気ショックを受け、刃物で切られ、無理やり犯されたこと。脚の神経は電気ショックで焼かれ、骨盤底筋はひどく裂け、それ以来正常に歩くこともできず、排尿を制御する括約筋まで永久に損傷した。
救出された日から、彼女は仙商に復讐すると誓った。
しかし彼女はスコープの中の、あの黒いショートヘアの少女を見つめ、その少女がわずかにうつむいた肩を見、ボルトを引く時の疲れ切った、それでいて断固とした動作を見て、指を止めた。
なぜならその少女は、自分と同じだった。ただ生き延びようとしているだけだった。
白河澪は指を引き、車椅子を窓から後ろへ押しやった。
「目標は射程外に離脱」彼女は通信機に向かって言った。声は平静だった。
香織は数秒沈黙した。「見逃したの?」
「風偏が大きすぎた」澪は言った。「また今度」
彼女は佐藤千夏の背中が廃墟の角に消えるのを見つめた。それからうつむき、自分の膝にかけた毛布を見た。毛布の下には、二度と立てない脚があった。
夕日が沈んだ。仙台市は闇に包まれた。
武装JKたちの戦争は、まだ続いている。




