8話
「俺は好きな人とキスできるならなんでもいいや」
蓮に愛される人は幸せだと思う。
「好きな人とキスした時のドキドキだったり体が熱くなる感じってやっぱり最高に幸せだから」
ん?んん?幸せだから?経験談?
待ってくれ……確か経験的な?とか昨日言ってたよな?
「自慢かよ」
「え?自慢?」
素で自慢してたのかお前、俺泣くぞ。
「経験ある言い方でしたけど」
「あーっ」
「どうせ経験ない俺にはわかりませんよ」
聞きたくないから経験談とか。
「もうこの話は終わり、自慢話とかうざい」
「じゃあ経験する?」
「……は?」
女の子紹介とかマジ泣くからやめてくれ。
「絶対に嫌」
蓮はビックリした顔で俺を見る。
「飲み物取ってくる」
蓮を部屋に残してキッチンに向かった。
「……はぁ…」
冷蔵庫を開けてしばらくボーッとする。
「…はぁ………」
ため息しか出ない。
「経験談とかキツすぎ」
「いつまでそうしてるつもり?」
背後から蓮の声、いつから居た?
「お茶しかねぇなって」
「何言ってんの?いつもお茶しか飲まないじゃん」
「今日は炭酸な気分なんだよ」
「ふ〜ん」
なんとなく蓮が近づいて来てる気がする。
「部屋で待っ」
「俺も手伝うよ」
確実に真後ろに居る。
「なーお」
俺の耳元で蓮が俺の名前を呼ぶ。
「なっなんだよ」
「このシチュエーションだったらどんな想像する?」
「はあ!?」
ビックリしすぎて思わず振り返ってしまった。
目の前にある蓮の顔、なんだか妖艶。
「そんなに見つめるなよ」
あまりに綺麗で思わず見惚れてしまった。
「見つめてねぇよ」
「本当に?」
綺麗なお前の顔が悪い。
「俺だったら尚の顔にそっと自分の顔を近づけて優しくキスしながら舌でゆっくり侵略していく」
勘違いしちゃダメだってわかってる。
「尚は俺とっ」
「ドラキュラだろ!お前ドラキュラだろ!!」
「んー、ん?」
キョトンとした顔の蓮。
「ドラキュラって見た目で人を魅了して相手を落として隙をみて血を吸うだろ!まさにお前じゃん!!」
頑張って我慢した俺を褒めてほしい。
「ぷっ」
笑われた、俺の努力を笑ったな。
蓮を睨む俺。
「可愛い事言ってくれるよね」
「は?可愛い?」
「だってそれって俺が魅力的って事でしょ?」
恥ずかしさと焦りで頭が真っ白に。
「尚から見て今の俺は魅力的?」
「しっ知らんし!」
「じゃあドラキュラなら血を吸ってもいいのか」
俺から視線を外し怖い事を言っている。
「いや、君は人間だよ」
「試してみないと、ドラキュラかもよ?」
………………試してみたい…かも……
「逃げないの?」
至近距離で蓮と見つめ合う。




