7話
動揺が隠せないまま4人で過ごす。
「尚、なんかあった?」
蓮が不思議そうな顔で俺を見る。
頭を左右に振り何でもないと返事をする俺。
納得いかないようで不機嫌な顔になる蓮。
「尚!俺らそろそろ帰るわ!」
離れた場所から拓哉が叫ぶ。
「おう」
拓哉と塁は右に進み俺と蓮は左に進んだ。
「急に拓哉と仲良すぎ」
「そう?」
「前までのアイツなら尚ってつけなくない?」
「あー、確かに」
恋バナして仲深まったのかな?そのせいで俺の好きな人バレてる説浮上してるんですけど。
なんとなく気まずい雰囲気になり無言で歩く。
「このまま家来る?」
「うん」
気まずい空気に耐えられなかった。
……それに…まだ2人で居たかった。
家に着いて部屋に入る。
空間が狭くなると余計にこの空気の重さが辛い。
「なんか飲み物」
「喉乾いてないから大丈夫」
「お菓子とか」
「お腹空いてないから大丈夫」
とりあえずこの部屋から出たい。
何かいい方法がないかと必死で考える。
「座ったら」
気づいたら蓮は座っていた。
「なんのゲームする?」
蓮の方を見ないように距離をとって座る。
「こっち」
蓮は真横をトントンしながら言った。
「ゲームするのに近かったら邪魔だろ」
「しないから早く」
蓮のワントーン低い声には逆らえない。
動揺を隠しながらゆっくり蓮の隣に座る。
「えーっと、ゲームしないで何する?」
「拓哉、中3から彼女いる」
「……えっ!中3!!同級生!?」
「確か3つ上だから俺らは知らない」
「3つも上!」
俺の想像の斜め上すぎて頭が処理できない。
「噂じゃ何度も告白されて付き合ったとか」
「…えっでも……」
「なに?」
「彼女の事本当に好きなの?」
「…なんで?」
言ってもいいのか迷ったけど蓮だったら大丈夫だと言い聞かせてさっき拓哉から聞いた話をした。
「そのままの意味でしょ」
「……それって」
「他に好きな人がいるって事でしょ」
だよね、やっぱり塁の事が好きなんだよね。
「じゃあなんで彼女なんかっ」
「理由は拓哉にしかわかんないでしょ」
どんな理由があっても間違ってる。
絶対今のままじゃダメだ。
「拓哉ともっと話さないと」
俺は下を向き拳を握りしめた。
「ところで尚ちゃんは拓哉と急に仲が深まったみたいですが拓哉と何をコソコソ話してたのかな?」
蓮が急に俺の目の前に顔を覗かした。
「べっ別に」
「何もないとか通用しないのわかるよね?」
このちょっと優しい感じが逆に怖い。
顔を上げて視線を蓮がいない方向にそらす。
「えーっと、甘党だな!とか?拓哉って彼女いるよね?って聞いたら何で知ってんだ?みたいな?」
「…他は?」
言えない!やりてぇだの話されたなんて言えない!もちろん俺もキスしたいって思ってるなんて絶対言えない!
「そんだけだよ」
「じゃあ聞いていい?」
「…なんだよ」
「尚くんの考えてる事詳しく聞かせて?」
聞かれてたんかい!いつから?どこから!?
「恋人がほしいとか?手をつなぎたいとか?」
「えー?そんな感じの話だった?」
俺は確かあるよとしか言わなかったはずだから最悪そこまで考えてないで乗り切れるはず。
「俺に嘘つくの?」
「嘘じゃっ」
顎を掴まれ蓮の方に顔を向かされた。
蓮の顔が愛しすぎて正直に話してしまいそうになる。
「尚はキスしたいとか思ってるんだよね?あっ、それ以上の事もだったかな?それ以上ってどんな事?」
「へっはっはあ?べっ別に?」
バレてる!全部バレてる!!
「誰としたいの?誰かしたい人がいるの?」
お前だよバカ、目を細めて蓮を睨む。
「ん?」
「別に」
お前って言えたら楽だわ。
「誰でもいいとか最低」
「そうは言ってねぇだろ」
「じゃあ誰かいるって事?」
「いや別に」
「じゃあどっち」
あなたですよ。
でも伝えたらきっと困りますよね。
だからもぅ勘弁してください。
「こんなキスいいな、くらいだから」
「どんなキス?」
いつも妄想するのはキスするだけだから考えた事なかったけど蓮とならどんなキスでもいいな。
「お前は…どうなんだよ」
「俺?んー…」
良い返しだったと思う。
「例えば?」
まさか聞き返されるとは思ってなかった!
頭をフル回転させてドラマやマンガを思い出す。
「図書館でうたた寝しててチュっみたいな?」
「それってした方しか記憶ないよね」
「まぁな」
「それは嫌だな、ちゃんとお互いがキスしたって記憶ある方がよくない?自分だけとか嫌だ」
可愛い、なんて可愛い事言ってくるんだ。
今すごく蓮にキスしたくなっている自分がいる。
「他は?」
「じゃ、じゃあ朝起きて目を開けたらチュっ」
「それって朝まで一緒に過ごしてるよね」
「おっ、おぉ……まぁ…だな」
「じゃあそれ以上に愛し合ってたわけだしきっと何度もキスしてるし特別なキスではないよね」
想像してしまう、蓮と朝を迎える自分を。
具体的な事は知識がないからわからない、ただ一緒に過ごしたとゆう幸福感で満たされている自分を。




