16話
「塁…その……塁が好きなっ」
「尚だよ」
「そっか俺か………へ?」
俺!俺なの!!えっ!?俺!!?
「ふっ、ごめん冗談」
「だよな!」
急に冗談ぶっ込んでくるのやめてくれ。
「でも限界感じちゃってるからさ」
「…え?」
「ずっと好きなだけでよかったけどいつまでも子供じゃいられないじゃん、相手にも同じだけ気持ち求めちゃうし、いろいろ欲深くなっていくと好きだけじゃ満足できなくなる」
塁の好きな人って誰?
「彼女つくってみたりしたけどっ」
「は?はあ!?いつ!!いついたの!!?」
「中3」
………全然知らなかったんだけど。
「他の男とも付き合ってみようとしたけどっ」
「ちょちょちょちょっとまって!」
情報量急に多すぎて頭がバグるって!
「男?男と付き合おうとした?」
「うん」
とりあえずいろんな人と付き合ってみよう的な?
「アイツ以外の男って考えたらなんか無理だったわ」
アイツ?アイツ??アイツ!!?
「えーーっと…それは……アイツ?だよね?」
塁は何も言わない。
って事は両思い?両思いじゃん!!
「あーー眠くなったから寝よ」
「えっ!おい!気になるって!塁!」
返事はなく一瞬で寝てしまったらしい。
拓哉なにやってんだよバカ。
キーンコーンカーンコーン……
「ん?」
いろいろ考えすぎて寝落ちしたらしい。
「下校時間か」
ガラガラガラ…
保健室のドアが開いた。
なぜか寝たフリをする俺。
「……チッ…」
ベッドの傍まで来た誰かが舌打ちをした。
先生か?薄目で誰だか確認する。
ギシッ…ギシッ…
横で寝る塁を抱き抱えて隣のベッドに寝かす拓哉。
「たっ」
名前を呼ぼうとした俺にシーっと指を立てる拓哉。
苦しそうな笑顔を俺に向けて保健室を出て行った。
「意味わからんよな」
「おっ起きてたんかい!」
「いや、今起きた」
今っていつ!移動前?後?
「そろそろ教室行く?」
「おっおう」
ガラガラガラ…
再び保健室のドアが開いた。
「先生留守?ってかお前らだけサボってズルい」
初めて保健室に来たように話す拓哉。
「お前は元気だろ」
何もなかったように返事をする塁。
「それだったらお前らも本当は元気だろ」
「気分悪いよな?尚?」
「おっおう」
「一歩譲って尚は気分悪いとしてお前は元気だろ」
「は?最低クソ野郎」
普通に会話をする2人。
いろいろ頭が整理できないんですが。
「カバン持って来たから帰ろうぜ」
「サンキュ」
ベッドから立ち上がり拓哉の隣に立つ塁。
「普通だ」
2人を交互に見て呟く俺。
「えっなんて?」
不思議そうな顔で俺を見る拓哉。
「いやこっちだから不思議なの」
「……塁、尚大丈夫か?」
「頭は打ってないから寝ぼけてるんでしょ」
夢?夢だった?
「とりあえず蓮のバイト先っ」
「行かない」
今アイツの顔見たくないから。
「俺家帰るし行くなら2人で行って」
2人が顔を見合わせた後に俺を見た。
「ちゃんと蓮に聞いた方がいんじゃない?」
塁が真剣な顔で俺を見る。
「………やだ」
「でもっ」
「絶対嫌、彼女できたって言われたら俺死ぬ」
「それはないって」
自信満々に答える拓哉。
「絶対とは言い切れないだろ」
「………まぁ」
無理、彼女できたとか本当に無理。
「俺帰る」
カバンを手に取り走って家に帰った。




