15話
あれから1週間が経った。
邪魔したくないからお店には行かなかった。
「とりあえず今日でバイト終わりだっけ?」
拓哉が蓮に聞く。
「一応今日までって話だけどあの手じゃまだまだ仕事復帰は無理なんじゃないかな」
学校に来れば会えるし逆に言えば放課後以外会えるわけだし別に数時間蓮に連絡がとれないだけ。
それだけなのになんかね。
「蓮」
教室の入り口から蓮を呼ぶ女の声。
また告白か?………って待て、蓮って呼び捨てした?
急いで入り口に立つ女を確認する。
「蓮、ちょっと」
人差し指で手招きしながら女が蓮を呼ぶ。
「ちょっと行ってくるわ」
席を立って入り口に向かう蓮。
「えっ!彼女!?」
「もしかしたら親戚とか!」
教室がざわつく。
ちなみに蓮にあんな親戚いないよ。
「でも彼女できたって言ってたよな?」
「あれってD組の天谷さんじゃん!」
「天谷さんだったら他の女子は勝てないよな」
クラスの男子がやけに納得した顔で入り口を見る。
「あらあらあら尚ちゃん大丈夫ですか?」
拓哉が苦笑いしながら俺を見た。
「…………別に…」
以外の言葉が浮かばない。
「実際は彼女いないわけだし心配する必要ないでしょ、ただ呼び捨ては気になるけどな」
塁が入り口を見ながら言った。
本当に彼女いないよね?まさかこの短期間に彼女できたとかないよね?もしかして放課後手伝いって事にしてデートしてるとかないよね?
「でも天谷って蓮のタイプに当てはまるよな」
意地悪い顔で拓哉が俺を見る。
「おい拓哉」
塁が拓哉を睨む。
気分悪い……吐き気がする…
「悪い悪い」
席に戻ってきた蓮。
「お前っ」
拓哉が蓮に何か言おうとしたタイミングでクラスの男子が蓮に群がってきた。
「俺ちょっと体調悪いから保健室」
席を立とうとした俺の腕を掴んだ蓮。
「一緒に着いてっ」
「大丈夫」
「でもっ」
「俺も気分悪いから一緒に行くわ」
塁が俺の肩に手を置き入り口に向かった。
「悪い」
「気分悪いよな」
塁は優しいし俺の気持ちをわかってくれる。
ガラガラガラ…
保健室に塁と2人きり。
「とりあえずベッドで昼寝しよ」
「……うん」
ベッドに移動して右側のベッドに入る。
「………なんで同じとこ?」
なぜか塁が俺のベッドに入って来た。
「辛い時は人肌が良いって聞くだろ?」
「えっいや、あんまり聞いた事っ」
「いいからいいから、はい」
塁の腕に包まれた。
確かに塁の温もりで癒されてる気がする。
「塁が彼氏だったら彼女は幸せだな」
「そう?」
「優しいし気持ちわかってくれるし」
「……同じだからだよ」
「…それって……塁も誰か好きな人がっ」
「いるよ」
急に心臓の動きが早くなる。
「だから尚の傷ついた姿見てると助けたくなる」
「そっそっか……………ありがとう」
誰を好きかまでは聞いちゃダメかな。




