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13話

「塁くん、何が言いたいのかな?」



茶化すように話す拓哉の顔が真顔すぎて怖い。



「そのままの意味」

「だから、その意味を聞いてるんだけど?」

「逃げずにって拓哉が言えるのかな?ってね」



めちゃめちゃピリついた空気なんですけど。



「俺が逃げてるって?なにから?」

「心当たりあるでしょ」



蓮助けて!今こそ水を入れに来てくれ!



「別に何からも逃げてないけど?」

「へぇ〜そうなんだ」



水!水をください!



「彼女のどこが好きか言えよ」



穏やかな塁の荒い口調に心臓が止まりかける。



「……は?」

「言えねんだろ」

「俺トイレっ」

「言う必要ないだろ」

「言えねんだろ?」



俺今ココに必要ですか?必要ないですよね?ってゆうか2人とも俺の存在忘れてますよね?



「何なんだよ急に」

「急じゃねぇから」



蓮に助けを求めるために視線を向けてみたら奴は客のお姉様と楽しそうに話してやがる。


眼圧で後頭部焦がしてやろうか。



「いや………悪い」



苦しそうな顔で無理に笑顔を作る塁。



「塁っ」

「そろそろ店出るか」



席を立ち会計に向かう塁。



「あっ金」

「あー、空気悪くしたし俺の奢りで」



塁が振り返りもせずそのまま会計をする。


塁が財布を触っているタイミングで蓮が俺を見た。


だ・い・じょ・う・ぶ・か?


口パクで俺に話しかける蓮。


苦笑いする俺。



「なんか悪い」



拓哉が急に謝った。



「えっあぁ俺は別に………あのさぁ」

「行くぞ」



塁が入り口に移動しながら声をかけてきた。


席を立つ拓哉、俺も一緒に席を立つ。


カランカラン…


蓮がドアを開けて待っている。



「また来るね」



いつもの塁が蓮に声をかける。



「俺も毎日通うわ」



拓哉もいつも通り。


俺は明日も来るって言おうかな、なんて考えながら蓮を見ると心配そうな顔で俺を見ていた。



「大丈夫か?店終わったら連絡する」



きっと2人の問題に俺らがしてやれる事はない気がする、何かあれば相談してくるだろうし。


そんな事より問題はコイツだろ。



「チヤホヤされて浮かれんなバカ」

「は?」



最上級の睨みで蓮を見る。



「ヤキモチ焼きで困りますわ」

「違うし」



どことなく嬉しそうな蓮。


笑顔が眩しすぎてお釈迦様に見えた。



「すみません!お会計いいですか?」

「あっはい、すみません」

「じゃあ頑張れよ」

「尚、気をつけて帰れよ」

「おっおう」



尚って呼ばれただけで元気が出る。


立ち止まって遠くから俺を見ている2人。



「お待たせ」

「嬉しそうな顔しちゃって」



拓哉が意地悪い顔で俺を見る。



「別に普通だし」

「あんな顔してちゃすぐ周りにバレるな」



空を見上げなら話す塁。



「この後どこ行きますか?」



俺を見ながら聞いてくる拓哉。



「俺、今日は帰るわ」



空を見たまま話す塁。


ギクシャクしすぎて気持ち悪いんですが。



「じゃあ俺らも帰る?」

「そうだな」



いつもの分かれ道まで俺を間に挟んで会話をする。


これ分かれ道で別れた後あの2人大丈夫か?



「じゃあな」



拓哉の表情は硬い。



「また明日」



なんとなくいつも通りな塁の表情。


明日になるのが少しだけ怖いと思った。

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