12話
あれから何度となく蓮にアタックしようとした野獣女子大生たちが諦めて店を出た。
きっと俺が知らないだけで蓮の周りには常に野獣が獲物を狙っているに違いない。
「おもろ」
拓哉が何か言ったけどよく聞こえなかった。
「意外」
塁が少しだけ笑いながら俺を見た。
「ん?なに?」
拓哉と塁が顔を見合わす。
「尚って隠せてる時は本当に好きなんだよな?って思うくらい普通ってゆうか逆に全然興味ない感じ出してたのに実はかなり嫉妬深い束縛男だったんだね」
塁の言葉に頭が真っ白になる。
「もしかしてってゆうか実は昔からずっと蓮に近づく奴とか殺す勢いで見てたわけか、まさか俺らにまで嫉妬したりしてないよな?」
正直言うと否定できない。
「まじかよ」
拓哉と塁が笑う。
「いつから気づいてた?」
俺の言葉に2人が顔を見合わせて呆れたように笑った。
「普通に最初から」
拓哉が言う最初とは?
「ずっと蓮しか見てなかったじゃん」
「……へ?」
「中学の入学式で並んで体育館向かう時に蓮の事見すぎて壁にぶつかりそうになったのを俺が引き止めたろ」
確かに入学式の時に後から肩を掴んできたのが拓哉で初めての会話で前見て歩けって怒られたんだった。
「あれは…ボーっとしてただけでっ」
「教室に入って席に座るように言われて俺の前がお前で座ってからずっと右向いたままで視線追ったら蓮でコイツアイツの事が好きなんだなってすぐわかった」
拓哉が親指を立てながら自慢げな顔をした。
恥ずかしい!俺は無意識に蓮を見ているのか!
「女子が蓮に話しかけるたびに泣きそうな顔してさ」
「えっえっええ?えええ!?」
塁に言われてひどく動揺する。
もしかしてみんなにバレてるのか?
「俺ら意外気づいてないと思うよ」
「なんで俺の考えてる事がわかるんだよ!もしかして塁ってエスパー?エスパーなんだろ!」
「最近特にわかりやすくていいわ」
エスパーだ!心を読まれる!
「そんなわけないだろバーカ」
拓哉が俺をバカにした。
「隠す必要ないのになんで隠してるの」
塁が急にぶっ込んできた。
「だってっ」
「何を3人でコソコソ話してんだよ」
蓮がテーブルの横に立ち俺のコップに水を入れた。
あっぶね!ココが蓮のバイト先だって事忘れてた!
「ヒ・ミ・ツ!」
チャーミングな笑顔で拓哉が答えた。
…………シーーーン…
「すみませーん!注文いいですかー?」
「はい」
他の客に呼ばれて蓮が立ち去る。
「またまた可愛い顔しちゃって」
拓哉の言葉にハッとして塁を見る。
「もう隠せないんでしょ、最近の尚だったらたぶん他の奴も尚の気持ちに気づいちゃうと思うよ」
塁は俺の目を真っ直ぐ見たまま話す。
「……なんでかな……ずっと隠せてたのに」
「隠したくないからじゃない?」
隠したくない?今まで隠してたのに?
「隠せないくらい蓮が欲しんでしょ」
蓮が欲しい?
「隠してたら誰かに奪われちゃうかもだし隠しきれないくらい蓮が欲しくて欲しくてたまらないんでしょ」
「…そんな事っ」
「もう素直になりなよ」
俺だって素直になれるならなりたいよ。
「でも怖いんだよ…友達だからこそ嫌われたくない…傍に居れるならこのままでいいってっ」
「蓮に彼女できたら?自分だってわかってるでしょ、蓮に大事な人ができたらずっとは傍に居れないって」
わかってるよ…わかってるけど……
「逃げずに頑張れよ」
拓哉の真剣な声。
「お前が言える立場かよ」
塁の言葉に俺と拓哉の目が合う。




