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出来損ないと呼ばれた巫女は、守り神となった妖に溺愛される。  作者: 文字書きA


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第八二話:葬儀、2日目(前編)

次の日の朝は、晴れていた。抜けるような青空の下で、参列者たちは再び、あの大広間に集まってくる。全員が揃ったところで、八葉(やつは)は手元の紙を開いた。


「それでは、私が代表して弔辞(ちょうじ)を読ませていただきます」


彼女の言葉を耳にして。参列者たちの目が、前の方に座っている琴葉(ことは)に向けられる。定位置にいた暁明(ぎょうめい)が、視線を感じて体を起こした。彼はゆっくりと、周囲を見回す。そして最後に、八葉を見た。


「……これは斎主(さいしゅ)である、私の役割ですから」


突き刺さるような視線に震えながら。彼女は言葉を返して、手元の紙に目をやった。


「……(つつし)んで、お悔やみの言葉を述べたいと思います。お兄様とお義姉(ねえ)様が突然亡くなられたと聞いた時は、悲しい思いばかりでした。何より、まだお若いのにご家族を亡くされたばかりの琴葉さんのことを思うと胸が痛く……」


言葉とは裏腹に、八葉の声には感情がこもっていない。琴葉は無言で、下を向いた。ポッカリと、胸に穴が空いたような感覚。それを抱えたまま、彼女は叔母(おば)の言葉を聞く。


「……お兄様とお義姉様は、立派な方々でした。桜花(おうか)の術師として、最期(さいご)まで。この国を守ろうとされていた。その覚悟は尊いものです。そんなお2人ですから、祖霊(それい)となった後も末永く、この家を守ってくださるでしょう。我々もそれに恥じないよう、精進(しょうじん)することを誓って、結びの言葉といたします。令和7年12月20日。斎主、桜花八葉」


弔辞の途中で。琴葉が浮かない顔をする。


(それは違うわ。少なくとも、お父様は納得していらっしゃらなかった)


それは彼女と玲哉(れいや)、そして神々だけが知る真実。だが、彼女は黙って飲み込んだ。死者の名誉(めいよ)(たも)つために。八葉が手元の紙を(たた)んで(ふところ)にしまい、別の紙を取り出す。


「続いて弔電(ちょうでん)を読み上げさせていただきます。まず、神祇(じんぎ)省長官、土御門(つちみかど)(らい)様より。『優一(ゆういち)様、並びに明葉(あけは)様がお亡くなりになられたと聞き、大変残念に思っております。生前はお世話になってばかりで、その半分も返せないまま、お会いできなくなってしまうとは思いもしませんでした。今は御霊(みたま)の平穏をお祈りするばかりです』とのことです。次は……」


沈みこんでいた琴葉が、神祇省という単語を聞いて目を見張る。彼女はこっそりと後ろを見た。同じ場所に勤めている、彼らの反応が気になって。そして気づく。


(……なんだか、心なしか。渋い顔をなさっていらっしゃるような……)


焼津(やいづ)だけではなく、普段は感情を表に出さない佐藤も、少し表情が暗いようにみえて。彼女は1人、首を(かし)げた。

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