表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
出来損ないと呼ばれた巫女は、守り神となった妖に溺愛される。  作者: 文字書きA


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/47

第七話:どうしたいか、どうなりたいか(前編)

「……ねえ、玲哉(れいや)さん。それならお互いに、敬語は無しにしませんか?」


やがて、琴葉(ことは)が笑みを浮かべて言った。玲哉はその言葉に、パッと顔を輝かせる。


「はい、是非!」


明るく笑って、彼は続ける。


「……あの、琴葉さん。宮仕えは、していますか?」


「あ、いえ……それが、まだ」


「しなくていいよ。琴ちゃんは、もう十分に働いたから」


琴葉が表情を曇らせる。定位置にいる狐が、不機嫌そうな声を出した。彼女は真剣な顔をして、即座に返す。


「――いえ。暁明(ぎょうめい)様、私はやってみたいのです」


その言葉に、狐は(きょ)を突かれた様子で黙る。玲哉は笑顔のままで続けた。


「……そうだと思った。君は、責任感がある人なんじゃないかって……。術師は国家資格だけど、神使(しんし)を連れているのなら、申請すればすぐに通る。一緒に頑張ろう、琴葉さん」


「……っ、はい!」


感激で、彼女が瞳を(うる)ませる。狐は深い息を吐いた。


「……しょうがないな。琴ちゃんがどうしてもって言うなら、僕も力を貸してあげる。宵闇(よいやみ)も、いいね?」


確認するような彼の声音に、玲哉の目だけが(あか)色に染まる。


「ああ、構わない。コレは不出来な依代(よりしろ)だが、琴葉の喜ぶ顔が見られるのなら、俺はいつでも表に出よう」


その声は、先程よりも低くて重い。宵闇の言葉だと直感して、琴葉はそっと彼の手を握った。


「……いいえ。いいえ、宵闇様。不出来だなんて、そんなことはありません。玲哉さんは、優しい人です。……そしてとても、良い人ですから」


ルビーのように輝く瞳が、彼女に向く。その口元には、薄っすらと笑みが浮かんでいた。


「……ふ。良かったな、玲哉」


言葉を落として、神は再び内に戻る。少年は、(まばた)きをして呟いた。


「……ごめんね。でも、ありがとう」


「……いえ、そんな……」


琴葉は何と言えばいいのか分からなくなって、側にいる狐を横目で見る。神の使いは、淡々と。事実だけを、口にした。


「あのね、琴ちゃん。そいつは、神を宿(やど)すために作られた(うつわ)なんだよ。肉体は宵闇のもので、本人の魂は要らないとされた。だけどね。守るべき家の、それも子供の魂を消すことを、宵闇は許さなかったんだ」


彼の言葉に、玲哉が(うつむ)く。女は2人を見比べて、小声で言った。


「……でしたら、宵闇様に感謝しなければなりませんね。かの方が守ってくださったおかげで、私は玲哉さんと出会えたのですから」


少年が顔を上げる。柔らかな笑みを浮かべた琴葉と目が合って、彼は照れたように笑った。


「……琴葉さん。はい、僕も感謝しています。今も、昔も。宵闇様は僕のことを、守ってくださいましたから」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ