3-4ゲーム目 誤算と素材集め
酷い目にあった。
とはいうものの、何とかなったというのも確かだった俺たちは、ようやくというべきか都市サムイへとやってきていた。
あれから、アイスウルフが再度襲ってくるということもなかった。
馬車にあのポカポカドリンクを薄めてぶっかけたからだ。
体に入ることを嫌がるモンスターたちは無理によってくることもなく、馬車は快適だった。
「ねえ」
「……」
「ねえ?」
「……」
「これ、どうするのか教えてもらっていい?」
「いやー、それはそのね……」
「あーさん、それは……」
「ヒメちゃん、ダメダメ、こいつを甘やかすのは」
快適だった、本当に一部を除いては……
というのも、当たり前のことではあったが、馬車というのは誰もが想像した通りで下は車輪で上は布のようなものに覆われているだけだ。
だからか、かけたポカポカドリンクが布の屋根からしみだして、下にいた亜紀やヒメちゃんにかかったという流れだった。
だから、二人は汚れてしまうことになり、怒っているのだ。
しかも、ポカポカドリンクが作ったもののため普通とは違っており、服などにかかった結果、拭いてもとれなくなってしまった。
実際に、対処法がないのかと言われても、もしやるとすれば、着ている服を素材として新しい防具や服を作ってしまわないことには難しいだろう。
だが、そんなことを言って、亜紀の服をもらおうとしてしまえば、変態のレッテルを再度されることは想像に難くない。
では、どうするのか?
ここは素直にやるしかない。
「ここで、新しいのを買えばいいだろ?」
そう、ここサムイにある服屋だ。
こんな辺境のような場所にある都市だからか、そもそもNPCの数というのもそこまで多くない。
だからお店も多くはなかったため、すぐに服屋は見つかっていた。
二人が入っていくのを見届けた俺は、馬車を置けるところへと向かった。
人は多くなくても、そこは馬車がある世界で、都市の中でもしっかりと通れるくらいには整備がされているのだが、思うことは……
「人がいないな……」
確かに、ここ都市サムイではというか、ここサムイ地方では、年がら年中雪が降っている。
だからこそ、取れる素材があったりするのだが、普通のNPCからすれば、こんな寒いだけの何もない場所なんかに連れてこられてもと考えるだろう。
などと考えているうちに、馬車を置ける位置についていた。
「よし、じゃあ俺もやるか」
ここサムイに来たからには、やりたいことというのがあった。
まあ、主にここでしか採れない素材についてなのだが……
ここサムイでしか採れないものというのは、ロックアイスやツララなどがある。
素材は後でも使えることになるはずなので、採っておくのに越したことはないからだ。
「ついでに気になった場所の近くまで行くか……」
今回はどんなモンスターが強化された状態で待っているのか、ということを知っておく必要があるからな。
場所だけを見ると、いるのはウルフキングだろうか?
他のゲームなんかでは獣人というような形で出ていたりもするそいつらは、かなり強い。
これまでのようなモンスターではなくて、攻撃を含めてもちゃんと考えて攻撃をしてくるからだ。
「ま、地図に書いてある場所にさえ入らなければいいか」
そう考えながら捜索を開始する。
都市サムイを出てしまえば、簡単に採取が可能だった。
まあ、これだけ気候が違っていれば当たり前のことなのかもしれないが、他の場所では採れないものに少しだけワクワクもしていた。
ある程度の採取を終えて、行うのは仕分けだ。
「これはあれに使って……」
いくつかにわけることによって、次に使うときにやりやすくする効果がある。
お金に関しては心配することがないので、余計に面倒もなく素材を集めやすかった。
というのも、俺たちは地下都市オワリに唯一行ける手段を持つ存在だ。
だということで、地下都市オワリで採れた珍しいもの、主に鉱石にはなるのだが、それを少しずつ売っていた。
こういうときに、多くを一気に売るというのも一つの手ではあるが、余計な注目などを浴びたくなかった俺は、少しずつ鉱石を売っていた。
少しずつとはいえ、他の場所にはないような鉱石なので、普通よりも高く売れていた。
それもあり、お金にはかなり余裕があった。
「だからって、使いすぎるとなくなる。こういう素材はあとでどうせ売れるからな、必要なときに採っておく。まあ、大事だよな」
俺はそうして欲しいものの採取を終えた。
欲をいえば、まだまだ採りたいものはあったが、最初に無理はよくないだろう。
それに、これだけのものがあれば作れるはずだった。
新しいものが……
作業台を設置した俺は、あるものを作っていく。
というのも、俺たちが早急に必要だと考えているものがあった。
それは、武器だ。
それも火の属性が耐えられるようなものがいい。
となると、ここの素材で作ることは難しいのだ、本来であれば……
だが、いつものように知識を使うことができれば、簡単にできる。
通常氷などの素材を使った場合、使える属性というのは水だ。
だが、こうも考えてほしい。
一つの小さな氷であれば、火で簡単に溶かすことができる。
でも、そんな小さな氷が大量にあれば?
そう、答えは単純で簡単には溶けることはない。
まあ、言ってしまえば、ただの力技にはなるのだが……
だが、魔法が勝手にではあるが宿すことができるような武器なのだ。
それくらいめちゃくちゃなことをしない限りできないという考えもあるはずだ。
だからこそ俺は、いつものように氷系の素材を組み合わせていくのだった。
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