3-3ゲーム目 失念と変わった武器
トンネルを抜けて、雪が降り続けている場所になった。
そして、俺たちはすぐにモンスターたちに囲まれていた。
「ねえ、どうするわけ」
「どうするって、戦うしかないだろ、モンスターなんだからな」
「わかってるけど、武器はどうするわけ?」
「武器?そんなも……」
「ねえ、何か言えば?」
そこで俺は失念していた。
亜紀が言う通り、武器がなかった。
いや、あることにはあるが、弱すぎるのだ。
これまで作ってきた武器というのは、ここまでの戦いには使えていたが、ここからについてはさらに強い武器というものが必要になってくる。
というのも、完全に忘れていたのだが、先ほどのドリンクというのはゲームの仕様で全ての攻撃が火系統にしかならないという説明をしたのだが、それに伴って、武器も同じように属性が扱えるようなものにしなければ、すぐに壊れてしまうという欠点がある。
そして、今回囲まれたモンスターというのはアイスウルフだ。
一体ずつの強さはそれほどでもないが、出てくる数というのが、十は超えている。
亜紀の攻撃で四体、俺もなんとか二体は倒すことはできたが、それでもまだ残っている。
そして、俺たちの手には武器がない。
「逃げるしかない」
「どうやって?馬車が通れそうな道はふさがれてるんだけど」
「いや、そこはうまいこと……」
「できるなら、とっくにやってるんじゃないの?」
「それはそうだ」
「準備はできてるから行けるって言ったの、あんたじゃなかった!」
ここぞとばかりに言いたいことを言ってきやがるな。
俺だって、今更ながらに思い出したことばかりなのだ。
便利だとか、使えるだとかの知識については、俺だって覚えてはいるが、詳しいことと言われると覚えていない。
だから、そんな欠点についてなど覚えているはずなんかないのだ。
だって、ポカポカドリンクについては、次の次に行こうと思っている都市で普通であれば作ることになるものだからだ。
そんなものを無理矢理作る方法をおぼえているだけでも偉いと思ってほしいのだが、亜紀からすればそんなことは知らないだろう。
「く……俺の苦労は……」
「そんなこといいから、さっさといい案を考えなさいよ」
確かにそうだ。
ここからなんとかするために必要なことといえば、攻撃できるようになる武器?
いや、そもそもアイスウルフたちを倒すことにこだわりすぎている可能性がるな。
そうじゃない。
必要なことというのは、アイスウルフから逃げる方法だ。
とんれば、必要なことは近づくことができなくなるようなものとなるだろう。
何か……あるな……
俺は、そこでとあるものがあることを思い出した。
それはポカポカドリンクだ。
このまま使うというのは、無理なことはわかっている。
確かに、これを飲ませることができれば、倒せる可能性だってある。
だけれど、このドリンクはもしもの時に使うためにともっているものであり、使うことができることはない。
オンセンで買ったものといえば、何がある?
そう考えたところで、俺は一つ思い出した。
使えるかもしれない。
俺は亜紀に声をかける。
「なあ」
「何よ、じりじり詰めてきてるし、そろそろいい案が浮かんだわけ?」
「タオル持ってるか?」
「持ってるけど、それがどうかしたの?」
「ちょっと貸してくれ!」
「何?変態、変態に目覚めたわけじゃないんでしょうね」
「どうしてそうなるんだよ」
「だって、あたしの体を拭いたものなんだよ」
「そ、それは都合がいいな!」
「都合がいいって何よ!」
本当に都合がいいのだ。
オンセンで買えるタオルというのは、隠しステータスとして、火の耐性を持っている。
これはオンセンの中で使えるようにするために必要な処置ではあったが、それが俺たちには必要なことでもあった。
亜紀がなぜ怒っているのかはわからないが、今回に限っていえばタオルが必要なので仕方なかった。
説明をするのも面倒な俺はさっさと亜紀からタオルを受け取りたかったのだが、亜紀は頑なに俺にタオルを渡そうとしない。
どういうことだ?
俺は疑問に思っていたのだが、貸してもらえないことには倒せるかわからない。
「どうすればいいわけ?」
「亜紀?」
「だから、あたしがやるからやり方を教えて!」
「あー、もうだったらいいよ。それを拳にまいて全力でぶん殴るんだよ」
「はあ?そんなことでいいわけ?」
「やってみればわかる」
亜紀は半信半疑になりながらも、取り出したタオルを手に巻き付ける。
どこか、ボクシングのような感じだ。
そして、そんな装備で大丈夫かと俺以外の誰もがそう考えながらも、亜紀を信頼して頷く。
アイスウルフたちも警戒をしていたが、武器などを取り出すこともなかったことから、しっかりと距離を詰めてくると、少しだけ前に出た亜紀に向かっていく。
だが、そこは亜紀だ。
見切ったようにして、完璧に交わすとカウンターで拳を叩き込んだ。
それはただのタオルをまとったはずのパンチではあったが、アイスウルフに当たった瞬間に火が出る。
予想通りタオルがしっかりと武器として扱えているようだ。
アイスウルフたちも畳みかけるようにして攻撃を亜紀に繰り出すのだが、さすがというべきか、亜紀は避けるとカウンターを叩き込む。
三体ほどのアイスウルフを殴ったところで、アイスウルフたちはさすがに勝ち目がないと悟ったのだろう、逃げていく。
なんとかなったと思いながらも、俺は流れで亜紀の拳を食らうのだった。
読んでいただきありがとうございます。
よければ次もよろしくお願いします。




