表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
だからこのゲームは間違っている  作者: 美海秋
このゲームのストーリーは間違っている
5/63

5ゲーム目 アイテムが欲しい?じゃあ作ろうか

「さすがに、ここからはやるなよ」

「うん。当たり前でしょ」


二つ目の町についた俺は亜紀にそう忠告をしている。

そもそもの話、あれだけ勢いよくスキルを使ってここまで来たのに、誰にも会うことがなかったのは、俺たちが通る場所というのが裏世界のようなものだったからだ。


何を言っているのか?

そう考える人も多いだろうが、これはバグの一つだった。

こう見えてもゲームを作っている俺は、チートのような技を多く知っている。

だから、なるべく一目につきたくない。

だったらどうするべきか?

バグを利用すればいい。


初期の段階でバグが多すぎるためというので不当解雇されたが、こう見えてもバグがあっても最後まで直さなくてもゲームをする上で問題がないだろうというものも存在することはわかっていて、そもそもだ。


「なんで、わけのわからないことをしなくちゃあれができないのよ」

「仕方ないだろ?バレないためには必要な処置だ」


俺はそう言葉にするが、亜紀の言っていることもわかるのだ。

裏世界に入るために必要なこと、それは今被っている仮面だ。

儀式の面。

そう名付けられたそれは、ネタ装備と呼ばれるものだ。

防御力があるものでもなく、最初の町での記念品としてもらえるものではあるが、見た目が少し不気味であり、仮面なので視界が悪くなるということもあり、つけている人はいない。

だが、この仮面を被り、ある場所で特定のダンスを行うと行ける世界が裏世界だ。

裏世界に行った俺達は、他のプレイヤーから認知されない存在になったのだが……


「モンスターも、あれだけよってくると、対処が面倒だったんだけど」

「よくいうな。あれだけスキルをぶっ放しておいて」

「それは、向かってくる敵は滅殺するのは当たり前」

「その思考が、もうこええよ」


そう、言葉の通り裏世界に行ったことにより、モンスターがよってくるというデバブのようなものが追加されるのだ。

よくある、何か特別な要素がある。

などというものではなく、本当に面倒な要素が追加されるだけという、知っていたところで誰もやりたがらないことだ。

一つだけいいところをあげるとすれば、移動速度だけが少し上昇するところだろう。

ま、微々たるものだが……


「それで?次の裏技とかないの?」

「そうだな。ここにはないな」

「ここにはってことはあるにはあるんだ」

「まあな」

「そっか……後、遊夜」

「なんだ?」

「いい加減、その仮面はずせ」

「は!」


命令口調で言われて、俺は慌てて外す。

俺の中では、このキモさがどこか気に入っているのだが、亜紀には気に入ってもらえていなかったようだ。

すでに裏世界からは帰還している俺たちは、今度こそはメインストーリーに向けての準備を始める。

装備については、最初から武器を鍛えているので、問題はない。

だとすれば、後必要なことはメインストーリーをこなすために一通りのことをこなすということだ。


「何か必要なことがあるんだっけ?」

「まあな。メインストーリーをこなすためには、いくつか必要なことがあるはずだからな」

「必要なこと?」

「あれだ。話を聞くってやつだ」

「なるほどね。そういうところは急にゲームって感じがする」

「いや、ゲームなんだよ」

「ふーん。その割には、あたしたちって、他のプレーヤーと交流とかしてないけど」

「いいんだよ。プレーヤーと行動するのは、面倒くさいからな。ソロが好きなんだよ、ソロが!」

「あー、いろんな意味でソロが好きと……」

「おま、どこを見て、何を思ってそんなことを言ってやがる?」

「別に?」

「からかってやがるな」


俺たちは軽口をたたきながらも、ワイワイと町を徘徊する。

途中で、プレーヤーたちが多い場所を通ることもあったが、特に目立つこともない。

むしろ、俺たちの服装や武器を見て、バカにするくらいだ。

次の町まで来たくせに、特に装備を整えることをしなかったやつらだと……

実際には、ここにいるやつらとは比べることもなく攻撃力は最強だ。

防具については、当たらなければどうということはない!

などというつもりはなく、ただ作るのが面倒だったからだ。

一通り町の探索を終え、町の長がいると言われる家に挨拶に行く途中に亜紀が話しかけてくる。


「ねえ」

「なんだ?」

「そういえば、この世界の露店ではアイテムみたいなものが売ってないの?」

「あー、素材しかないのがなんでかってことか?」

「そうそう」

「簡単だ。全部作るためにだだだだだだ」

「うん?なんて?」

「いだだだだだ……ちょっと離してくれって」

「うん?どうして?」

「いやだって、理不尽だだだだだだ」

「理不尽なのは、あたしらのほうでしょ。どうして全部作る必要があるの?」

「決まっているだろ、このゲームがクリエイティブオンラインだだだだだだ」

「かっこつけんな!」


俺は頭を掴まれて、そのまま軽く投げ飛ばされてしまう。

だが、そんなことを言われても仕方なかった。

このゲームは名前の通りクリエイティブオンライン。

どんなものでも作れてしまうゲームであり、どんなものでも作らないと手に入らないゲームでもある。

武器、防具、魔法、アイテムもだ。

だから、最初にアイテムである鉱石のような素材を収納するために収納袋なるものが必要だとは言っていたが、それについても素材を最初の町で作ることによって、使うことができる。

とはいえ、初めてのクリエイティブとして、一通り教えてくれるのだが、知っているからとそんなチュートリアル的なことをすっ飛ばした結果、最初は作り忘れていたのだが……


結果、何が言いたいのかといえば、全てのものを作ることができるからこそ、アイテムとして買うことはできないということだ。

面倒くさいと考えるのか、無限の可能性があると思うのかはあなた次第だ!


「いた」

「なんか、今ムカつく顔してた」


どうして亜紀は、俺の考えていることがわかるのだろうか?

まさか、俺が知らないだけで、人の感情を見抜くことができる何かを作り出したというのだろうか?

さすがというべきか……

俺はそんな的外れなことを考えつつも、メインストーリーを進めるための話を聞きにいくのだった。

読んでいただきありがとうございます。

よければ次もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ