2-24ゲーム目 回復薬は最強か?
考えていることがうまくいけば、いける。
火の魔法と水の魔法が使えるように魔法書を作る。
火と水の魔法を交互に当てることによって、ロックキメラについている岩を壊れやすくすることができるはずだ。
繰り返すことで、水膨脹することによって、岩を破壊できるはずだ。
やるぞ……
俺は亜紀とNPCたちが戦ってくれているのを後目に、なんとか魔法書を作っていく。
強くするためにも、魔石と素材を組み合わせる。
だが、魔石も多くはない。
だけど、弱い魔法書を作ったところで、ダメージがちゃんと入るかわからない。
だったら、ある程度作れる最大のものを作らないことには、魔法が効くのかわからない。
やっぱりどう考えても素材が足りない。
「くそ、いい手は浮かんでる。なのに、できないのかよ……」
速くしないと、コカトリスの頭がまた石化の息を放ってくるだろう。
他の手を考えるのがいいのか?
でも、今から考えることなど……
もしくは、コカトリスの頭が石化の息を放ってくるタイミングで火矢を放つのがいいのか?
そして、そこから水魔法を使えば……
いや、ダメだ。
さっきそうやって破壊したが、そこを狙って攻撃をしたが、ダメージをかわしながら、すぐにコカトリスの頭が石化の息を自分の体に向けて放った。
それによって、体もすぐに元通りにしてしまった。
だが、そこで思い出したことで、コカトリスの石化の息にはちゃんとリキャスト……
再発動の時間があり、速めに発動することによって、石化の息の範囲が小さくなる。
だからこそ、簡単に避けれて当たることはないのだが、ロックキメラの体は再度岩に覆われてしまった。
そこから考えても、やっぱり持続的に攻撃ができないとダメだろう。
やっぱり魔法か……
いや、武器で……
魔法書がたくさん作れない。
これだけでせっかくの手もうまくいかない。
こんなことなら、回復薬をたくさん作るのではなくてモンスターを狩って、魔石を大量に入手しておくべきだった。
今更遅いことはわかっている。
だけれど、なんとかできないだろうか……
「遊夜!」
「くそ!」
亜紀の声でロックキメラのほうを見る。
そこではコカトリスの頭が石化の息を吐きだそうとしているのが見える。
いや、ここで火矢をコカトリスの頭に向けて放つことができれば!
「火矢を頭に!」
俺の声に従うようにして、NPCが火矢をコカトリスの頭に向けて放つ。
だが、ロックキメラはそんな攻撃も対策済みだった。
それまではほとんど使っていなかった背中の羽が動くことによって、風が起きる。
火矢はその風によって跳ね返されてしまう。
ダメか……
なんとかできると思っていた。
制作をしてきたし、最短ルートも通ってきた。
裏技だってわかっている。
なのに、少し内容を変えられただけで俺はクリアできなくなるのか、このゲームを?
だけど、どうしようもない。
ロックキメラの体の岩を破壊することができないと厳しい。
コカトリスの頭を攻撃しようにも、NPCたちとそんな連携ができるわけでもないし、亜紀の攻撃が一番強いことでヘイトは常に亜紀に向かっている。
手段がないことがわかったのだろう、亜紀は言う。
「上等じゃない!」
そう言葉にして、ロックキメラに向かっていく。
後ろ姿を見て、思う。
そうだ、何かやれるはずだと……
だからこそ、再度いいものがないか、素材を漁る。
そんなときだった。
作りすぎた回復薬が一つ落ちた。
もちろん、俺はダメージをもらっているわけではないため、回復薬はただ地面に落ちて割れるだけだ。
中身の回復薬が地面にまかれて終わり……
「はは……そうか、そうだったな!」
俺はあることに気付いた。
そして、これならロックキメラを倒せることにも……
時間はないが、やれる。
俺は再度NPCに言う。
「火矢をあるだけ放ってくれ!」
NPCたちは、その命令に従うようにして、火矢を放つ。
後ろから急に火矢を放ってきたことに、亜紀は慌てて後退する。
「ちょっと、あぶな……」
亜紀は遊夜に向かって文句を言いそうになったが、真剣な遊夜の表情を見てなんとかできることがわかり納得する。
火矢が放たれている間に遊夜は今作れる最大の強さの火と水の魔法書を作る。
後はこれを使うだけだった。
だけど、この作戦をうまくやるためには亜紀の協力が必要だということをわかっていた。
「亜紀!」
「しょうがないわね」
あと少しでコカトリスの頭は石化の息を吐いてくるだろう。
火矢を嫌がるのはわかるが、考えれば、羽で風を起こしながら石化の息を放つこともできたはずだ。
でもしないということは、その羽は石化するということなのだろう。
だったら、余計に火矢を放っている間は、石化の息を放つことはない。
後少しで火矢がなくなる。
そのタイミングで亜紀が近くに来る。
「それで、何をやるわけ?」
「決まってるだろ、回復薬を魔法書にぶっかけてほしいだ!」
「ごめん?もう一度いい?」
「だから、魔法を放った後の魔法書に回復薬をぶっかけてほしいんだって!」
「また、頭おかしくなった?」
「そんなわけあるか!」
「だって、何をしたいわけ?」
「やってみれば、わかるから!やるぞ」
「わかったけど……」
確かに急に言われたところで、何をしているのだろうかと思うだろう。
だけどだ。
できるはずなのだ。
俺は亜紀に指定の回復薬と魔法書を渡す。
「どうするわけ?」
「えっとだな。続けてくれ」
「しょうがないわね」
「火よ」
「火よ」
「燃やせ!」
「燃やせ!」
「「ヒートファイヤー」」
炎がロックキメラを包みこむ。
そして、魔法を使った魔法書は消えるはずだったが、消える前に回復薬をかける。
するとどうだろうか、消えるはずだった魔法書は再度魔法を放った状態のまま残っている。
「は?」
「成功だな」
俺はそれを見守ると水魔法を放つのだった。
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