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だからこのゲームは間違っている  作者: 美海秋
このゲームの回復薬は間違っている

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47/63

2-22ゲーム目 詰んでるって

 今まで考えたことがなかったことだが、確かにゲームとして、都市の中にモンスターが入ってくるということは普通にあり得ることだ。

 でも、ここはゲームだ。

 現実では、そういうこともあったかもしれないとはいえ、ゲームでは安全エリアというものが絶対にあるはずなのだ。

 だというのに、そういうのをなくしてしまう。

 ゲームとしてはよくないことだが、一応はデスゲームなのだ。

 だったら、そういうことも起きるということなのだろうか?

 いや、今はそんなことを考えている時間じゃない。

 俺は、ロックコドラがいるであろう場所へ向かう。

 少しでも、都市の近くに来ているはずだからだ。


「何かいるわけ?」

「そうだな。面倒なモンスターがな」

「面倒なモンスター?」

「ああ……というか、その恰好はいいのか?」

「急いできたから仕方ないでしょ。なんとなく、嫌な予感がしたからね」

「それで、ヒメちゃんは……」

「あたしのお願いを聞いてもらってる」

「ああ、避難か」


 含みがあるような言い方をしているが、亜紀がお願いすることといえば、なんとなくそんなところだろう。

 そもそもの話、ヒメちゃんはまだ戦えない。

 だからこそ、逃がすということも考えているのだろう。


「それで、その面倒なモンスターっていうのは、どういう存在なわけ?」

「トカゲのキメラだそうだ」

「キメラ?」

「だそうだ」

「なんで、見ていないのに知ってるわけ?」

「情報を仕入れた」

「へえ……女か」

「何か言ったか?」

「別に……」


 亜紀が何かを言ったように聞こえたが、こちらまでは聞こえなかった。

 気にはなるが、余計なことを言うのはよくない。

 そう、わかっている。


 俺たちは、結局その後は無駄話をすることもなく、都市の外へとやってきていた。

 だが、そこで見た光景は驚くものだった。


「ねえ」

「ああ、これはここの都市で戦う人たちだな」

「侍って見た目だよね」

「そだな」

「それに、適当差がすごいと思うんだけど」

「仕方ないだろ、こういうのは作りこみすぎるのは面倒だし、こういうチープな感じにしないと詰められたら面倒なんだよ」


 確かに見えている侍たちは、頭だけに兜のようなものを装備し、体は袴のような服を着ているという、ふざけた格好だ。

 だけど仕方なかった。

 ふざけた格好にすることで、そういう世界観だと感じてもらえればよかったのだから……

 実際に使っている武器も、普通のロングソードのような剣で、侍といえばな刀などは武器として使っていないところも含めてだ。


 そんな似非侍(エセサムライ)たちはロックコドラ……

 見た目から、ロックキメラでいいだろう。

 初めて見たモンスターと戦っている。

 確かに、あのとき幸人が言っていたように、羽が生え、鳥の頭が着いている。

 その鳥についても見たことがある。


「コカトリスかよ……」

「なんとなくだけど、あたしでも知ってる名前だよね」

「知ってるなら、だいたいその通りだ」

「ふーん、そうなんだ、そうなんだ……絶対面倒じゃない!」

「怒るなよ……」


 言いたいことはわかる。

 コカトリスといえば、石化させてしまう吐息を出すことで有名なやつだ。


「あ、だからか!」

「何がよ」

「いや、元々岩なロックコドラと、コカトリスがどうして合体したのかって思ってぐはあ」

「さっさと倒す方法を考える、いい?」

「はい……」


 せっかく、コカトリスと組み合わせた理由がわかったというのに、そういう言い方は酷いとは思わないのだろうか……

 相手のことがわかっていなければ、倒すことも難しいということをわかっていない。


 そんなロックキメラと、ここの都市の兵たちは同じ戦いを繰り返している。

 あー、こういうのはどこかで見たな。

 強制イベントのようなものということだろうか?

 まあ、前のように止まっているというわけではないので、今回は少し違うのかもしれないが……


 現在の戦いと呼んでいいのかわからないものは、盾を構えた一番前にいる似非侍たちが、ロックキメラの突進を跳ね返しているところだ。

 そもそも、言っていいのかわからないが、これまでのストーリーとして戦ってきた強敵と違い、今回は都市へと勝手にやってきて、強制的に戦わせるという仕様になっている。

 ここから察するに、あれだろう。

 俺がさっきなんとなく気づいた。


 もしかすれば、ボスは全て無視してもこんなことをした奴の元へたどりつけるのではないかと考えてしまったのだが、このタイミングで都合よく都市へと向かってくるということは当たりなのかもしれない。

 ということは……


「今後も、こういうことが起こるってことか?」

「何?考えたの?」

「いや、もう少しだ」


 あー、今は余計なことを考えている暇はない。

 俺はロックキメラを攻略するべく、考えを巡らせるのだったが、答えはすぐに出た。


「あー、無理だな」

「はあ?無理なわけないでしょ!」

「いや、無理なんだって」


 ロックコドラと同じような弱点は、今のところ見当たらない。

 そもそも、羽がついている時点で、下からひっくり返すなんてものは通用しないだろう。

 ああ、うんどうすんだよ、これ……

 俺は絶望を覚えたのだった。

読んでいただきありがとうございます。

よければ次もよろしくお願いします。

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