2ー16ゲーム目 倒した後と進む道
酷い戦いだった。
ある意味では、うまくいったと言えるだろうが、少し後味が悪いものになった。
理由は簡単だ。
トロールも男だったということだ……
「何黄昏てるわけ?」
「いいだろ、別に……」
「ま、いいけど」
トロールを倒したことで出た素材を回収した俺たちは、さっさと離れていた。
理由は今眼前に広がっている。
「こうなるよな」
「でも、倒さないと進まないでしょ?」
「だな……」
他のプレイヤーたちが、トロールを倒したことに気づいたということだろう。
何を話しているかなどということくらいは、聞かなくてもわかる。
誰が倒したのかというものだろう。
ああいうのが来るのは本当に面倒だ。
「行かなくていいわけ?」
「いいだろ、面倒だからな。それに、行ったところで、この人数で倒したって信じてもらえないだろ?」
「そうね。もう少し歯ごたえがあってもよかったと思うけど」
亜紀はそんなことを言うのだが、俺は思わずやめてくれと思ってしまう。
ただでさえ、トロールへのダメージもほとんどが亜紀の攻撃だったからだ。
あれ以上攻撃をするというのであれば、本当にモンスターであるトロールが可哀そうに思えてしまうからだ。
それくらい
弱ってしまったトロールをあの場では虐殺のようにして倒していたのだ。
モンスターだとしても、さすがに見ていて大丈夫なのかと思ってしまうほどだった。
おかげで速く倒せたのは確かなのだが……
結局のところトロールに何が起こったのか、それを説明するのは簡単だった。
トロールもモンスターであり、モンスターである以上は生き物だ。
だとすれば、性別があったほうがいいよな。
まあ、こういう系のモンスターの強いやつらに限っていえば、ほとんどが男だった。
だからこそ、何も考えずに、男にしていたのだが……
俺たちは岩の壁を魔法で作った。
本来であれば、岩の壁というのは、トロールの足元にできあがり、それによって倒すというものだった。
だが、その岩の壁というのが足元ではなく股下あたりにできてしまった。
完全に失敗したと思ったのだが、岩の壁はそのまま大きくなる。
元々トロールのバランスを崩して倒すのが目的であったため、高さも強度もかなりのものにしていたのだが、そんなものがトロールの股間に直撃したのだ。
当然だが、トロールは苦悶の声を上げ、さらには悶えて立っていられなくなった。
そして、まともな防御もできなくなってしまったトロールは俺たちに倒されたということだ。
「それでも、さすがはゆーさんですね」
「ま、そだな」
「物凄く勉強になりました」
ヒメちゃんはそう言葉にして頷く。
うん、どことなく男たちにやりそうだよねとは、思っていても口には出さない。
今回はうまくいったということだけを考えておくべきだろう。
それに、今後についても考えないといけない。
最初の洞窟と違って、今回は広い場所だ。
どれだけ見られていないと思っていても、実は見られていた……
なんていうことは、普通に起きているだろう。
そうなると、余計なことに巻き込まれるはずなのだからだ。
そのことは、亜紀もわかっているはずで聞いてくる。
「それで?これから、どうするわけ?」
「考え中ではあるが、次の都市へ行くくらいだな」
「あっそ……それなら、さっさと行く」
「わかってるよ」
問題の先送りにしかならないということはわかってはいるのだが、今はそうするしかないだろう。
そして、話を聞きながら、ヒメちゃんは何を必死にメモを取っているのだろうか?
いや、聞かないでおこう。
そして、次の都市へと向かう予定だった俺たちは、最速で行くために山を歩いているのだった。
「ねえ」
「なんだ?」
「あまりの展開の速さに、あたしでも着いてくのがやっとなんだけど」
「仕方ないだろ?面倒なことを避けるなら、メインストーリーだけを攻略するべきだからな」
俺はそう言葉にした。
どうしてこうなったのか?
まあ、ショートカットをした結果だということだ。
全ては説明をしたのだが、亜紀からすればさすがに飛ばしすぎだと感じたのだろう。
だが、そんな様子の俺たちを見ながら、必死にメモを取るヒメちゃんのことの方を説明してほしいのだが……
とは思いつつも、山を進んでいる意味を再度説明するのだった。
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