2-15ゲーム目 予想外の出来事
「こうやって、作られるんですね」
「作ったことないのか?」
「はい。そもそも、作業台も初めてみました」
「じゃあ、その服たちは……」
「もちろん貢がせましたよ」
笑顔でヒメちゃんはそう言葉にするのだが、俺は少し引いてしまうのは仕方ない。
貢がされた男たちには悪いが、逃げられなかったというのが悪いと思っておくことにしておこう。
まあ、ゲームの世界だし……
自分の中でそう言い聞かせた俺は、作ったそれを見つめる。
今回見つかった鉱石と、ゴーレムの魔石から作った魔法書。
これを使うことで、それなりの魔法を使えるはずだということを確認しなくてもわかる。
後は使うだけだ。
「でも、どうしてどんなものなのか、わかるのでしょうか?」
「ああ、魔法書をクリックするだろ?」
「はい」
「そこに数値が書かれているんだよな」
「数値ですか?」
「ああ」
どうやって魔法書の強さを判別しているのか?
それについては、魔法書を指でつつくと出てくる数値によるものだった。
一から百までの数字が現れるのだが、その数値が高ければ高いほど、強い魔法が使えることになる。
最初のほうに作れる魔法書は、一から五。
俺が最初にやったときで八で水がかなりの威力があった。
そして、少し前に作った魔法書は十八。
今回に限っていえば三十だ。
これを使えば、魔法を発動だけでいえば上級までの魔法を発動自体はできるが、今回に限っていえば、魔法の大きさではなくて強度が必要になるため、中級魔法を使う必要がある。
ということをしっかりと俺は説明する。
だが、それを聞いた亜紀は言う。
「なが……」
しょうがないんだよ、説明するとなればな……
後、聞いたのに無言で引くのも違うと思うけどなヒメちゃん。
そうはいっても、準備は整った。
後はやってみるだけだ。
ここでトロールについておさらいしておく。
元々防御力が高く、そんな体の上に、さらに防具を着けていることからさらにその防御力は高い。
遠距離からの魔法では、それなりのダメージを与えたところで反撃をくらうのが落ちだ。
反撃は周りの岩を適当に投げてくるという範囲攻撃で、かなり致死性が高い攻撃で避けるのも難しいほどの物量を最終的には投げてくるというものだ。
そこからも、遠距離は難しい。
では、近距離ならどうなのか?
それについては、同じように防御力が高いため、巨体から繰り出される足の踏みつけや、振り回し、手に持っている武器での攻撃や手での攻撃などから避けつつも足に攻撃を蓄積させていき、体勢を崩させ、そこから弱点である首元ふくめて攻撃していくというものだ。
だが、今回防具をつけていることから、足への攻撃についてもわざわざ防具と防具の隙間を狙わない限り、大きなダメージを狙うことはできない。
だからこそ、今回の作戦である、地面から土の壁を作り出し、それによってトロールをひっくり返す必要があるというものだった。
「うまくいくの?」
「やってみないとわからないけど、俺たちの人数で勝とうと思うのなら、無茶苦茶なやり方しかないだろ?」
「それはそうね」
「あの、私はどうすれば……」
「ヒメちゃんは、戦闘はできるのか?」
「いえ、全てやってもらっていました」
「お、おう、清々しい顔で言われてもな」
さすがというべきか、やってくれる人たちというのがいたということだろう。
まあ、今回に限っていえばそれが俺たちになるわけだが……
考えても仕方ない。
そう割り切って、俺と亜紀は視線をかわす。
大丈夫そうだ。
「よし、作戦開始だ」
今回の作戦。
至ってシンプルで攻撃をかわしながら近づき、俺はそこで魔法を使い。
亜紀には魔法を放つまでの時間、数秒にはなるがそれを稼いでもらうというものだった。
距離が離れている分には、トロールも無闇にこちらに攻撃をしてくることはない。
俺たちは素早く近づいていく。
そして、すぐにトロールの攻撃範囲へと入った。
「ゴオオオオオオ」
雄叫びとともに、トロールは攻撃を繰り出してくる。
とはいえ、大振りだ。
しっかりと見ていればわかる。
そして、これは防具を着けている弊害というべきことだろう。
俺が作ったときよりも、防具のせいで攻撃は遅くなっていた。
「うん、なんとなく残念になってるな」
思わずそう言葉にしてしまう。
もしこれが失敗しても、大人数で囲わなければ、時間をかければ倒せそうだ。
攻撃を見つつそう考える。
とはいえ、今回はやるべきことをやろう。
俺は亜紀にヘイトが向くのを待つ。
互いに対角線上に立ち回ることで、ヘイトが向けば分かりやすく、そちらを攻撃し始める。
案の定、トロールは亜紀のほうを攻撃し始めた。
「今だな」
俺は魔法書を取り出す。
「土の壁よ、行くぞ!グレードウォール」
魔法を詠唱する。
地面から、土の壁が出てくる。
よし、いける!
俺は確信した。
だが、そこで気づく。
土の壁が出てくる場所が、地面からズレているということに……
ヤバい、失敗だ。
とはいっても、魔法は止められる、発動される。
ズレた魔法で作られた土の壁はというと、足の下から出ることはなく、そのままズレており、トロールの股間に吸い込まれた。
「うん?」
「ギャアアアアアアア」
思わず男として、縮こまってしまいそうになりながらもトロールが悶絶して倒れるのを見守ったのだった。
「遊夜?」
「いや、その……不慮の事故なんだ」
俺はそう言葉にしながらも、下半身に力が入らなくなったトロールを攻撃するのだった。
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