2-7ゲーム目 モンスターの様子が?
今回相手にすることになるであろうトロールについて、俺たちは議論を交わしていた。
「じゃあ、トロールは倒せばいいんですね」
「そういうことだな」
トロール。
大きな巨体と圧倒的な力を併せ持つ。
だけど明確な弱点というのも存在している。
それは、巨体を支えることもあって、足元を集中的に攻撃をすることで、倒れる。
そこを攻撃するというのが、トロールを倒すためのセオリーになっていたはずだ。
「トロールを倒すには、足を攻撃する。それだけだ」
「足を?直接弱点とか狙えないの?」
「弱点か……えっとだな…確か、首後ろが弱点だった気がするな」
「え?モンスターを作ったのも、遊夜じゃなかったっけ」
「ふ、大量のモンスターがいるんだ。弱点までは把握してないな」
実際に、かなりの数のモンスターを実装に向けてある程度動きを考える、なんてことをよくしていた。
そんなときに、弱点も設定をするのはしていたが、動きなどを考えるのに重点をおきすぎて、弱点をどこにしたのか?
なんてことをいちいち覚えていなかった。
「そもそも、トロールはでかいからな。首が弱点って今は言ったけど狙えるかはまた別だぞ?」
「ほら、そういうときって、体を上って……」
「いや、どこの漫画の世界だよ」
「いやいやいや、そもそもここゲームの世界なんだけど、それくらいできないの?」
「言われてみれば、確かにそうだな」
「でしょ?」
そう、亜紀が言う通り、ゲームの世界ではあるので、言っているようなことができるのかもしれない。
だがそもそも、そういう発想に俺はならなかった。
こういうところは、本当にさすがだな。
思わずそんなことを考えながらも、トロールがいるであろう大きな平原へと向かう。
今回何もやることもなく、トロールがいるであろう平原を目指したのには、理由があった。
「メインストーリーを受けなくても、トロールが出現しているのか、確認しておかないとな」
「えー……もしいなかったら?」
「いなかったら、戻ってモンスターが発生する依頼を受けないといけないな」
「うん?ということは、いなかった場合は、二度手間になるってこと?」
「そうなんだけど、心配するな」
「なにが?あたし嫌なんだけど、二度手間になるの」
「いや、でもだな。大丈夫だと思うんだよな」
「ふーん、ダメだったら?」
当たり前なのかもしれないが、亜紀に詰め寄られる。
なんと返していいのかわからなかった俺は、しどろもどろになってしまう。
「そ、それはほら……」
「何かお願いを聞いてもらう。で、どう?」
亜紀のそれは、悪魔のささやきのようではあったが、俺は頷くことしかできなかった。
亜紀の満面の笑みを見た俺は、しょうがないかと割り切るのだった。
そして、その後は何事もなく大きな平原へとたどり着いたのだが、そこにはトロールがいた。
「ちっ……ちゃんといるのかよ」
舌打ちした?
いや、まさかな……
俺は何も考えないようにしつつ、トロールを見る。
「予想通りでかいな」
「そうね。ねえ……」
「なんだ?」
「見間違いじゃないよね?」
「言いたいことはわかる」
「だったら、遊夜。あんたね。どうしてあんなものがついてるわけ?」
「俺が聞きたいからな」
そう言葉にしたのには理由があった。
だってどういうわけか、トロールは立派な防具を着けていたからだ。
全くわけのわからない状況に、さすがの遊夜も戸惑う。
だって、自分が作っていたときには、そんなものを装備していなかったからだ。
とはいえ、そうなると考えられることは一つだった。
「勝手に誰かが追加したんだろうな」
「どうするの?」
「どうするのって、言われてもな。戦い方を考えるくらいしかないだろ?」
最初に考えていたことである、足を集中して攻撃をして自分の重みを耐えられなくなったところを攻撃する。
というのが、最初に考えていたことだったが、防具を身に着けている以上は、そんな簡単なものではなくなるだろう。
そこで、遊夜はあることを思いつく。
「もしかして、最初のゴブリンのときも普通とは違っていたのか?」
「どういうこと?」
「いや、最初にゴブリンキングだったかを倒しただろ?」
「え?そうだっけ?」
「いや、あれは倒したというか崩れ落ちたと考えるべきか……」
「うーん?」
「いや、あんなことがあったんだぞ?覚えてないのは、さすがにないだろ」
「え、でも……その後にあったストーリーのほうがヤバくて」
「確かに、あれはやばかったけどな。同じくらいヤバかっただろ?」
「そうだっけ?」
亜紀はそっぽを向いてとぼける。
これは完全にわかっているのに、とぼけているな。
とはいえ、そんなことを言ってしまえば、余計な争いを生むだけだということもわかっている。
それに、今はそんなことを考えている暇でもない。
「トロールをどうやって倒すのかを、考えないとな」
「だったらほら、あたしがさっき言ってたこと覚えてる?」
「首元を攻撃するってやつか?」
「うん、それ」
「いや、無理だろ……」
トロールの身長は俺たちの四倍近くある。
確かに言っていたように、首元に攻撃ができるのであれば、いい。
だけど、四倍の大きさとなると、さすがに上るときに無防備になりすぎてしまう。
「どっちにしろ、対策は必要だ」
「はあ、仕方ないか」
トロールが思ったモンスターじゃなかった以上は、無理はできない。
作戦を練るべく、その場を離れるのだった。
「ふふふ、なーるほど、なーるほど」
そんな遊夜たちを見ている存在がいるということも知らないまま……
読んでいただきありがとうございます。
よければ次もよろしくお願いします。




