2-3ゲーム目 回復薬の製作成功率を上げる方法
人の目がないであろう場所で、俺も作業台を展開する。
このゲームの製作については、作るものによって、ほんの少し作り方が変わってくる。
例えば素材を使い素材を作る場合は、組み合わせていく。
武器や防具を作る場合は、ハンマーで叩くというもので、全てのものに専用の動きがあればよかったのだが、NPCがまともにAI処理ができていないことからわかる通り、回復薬などの薬というものも作ることができるのだが、作る工程は全て同じで、フラスコのようなものに入れてガラス棒で混ぜるだけなのだが……
「まずは普通に作ってみるか」
「普通って、さっき周りがしてたみたいな?」
「そうそう」
「別に、見てたからいらないけど」
「そうか?」
「うん。だって、何度も見るのは面倒くさいじゃん」
「まあ、そうなのかもしれないが……」
「だったら、いいでしょ?そもそも、違ったことするんだったら、さっさとするほうがいいでしょ、人が来る前に」
「そうだな。とりあえずは、普通に薬草を入れる」
俺はフラスコにさっき採ってきた薬草を入れる。
普通であればあとはここに、水を入れれば完成だ。
回復薬を作るために効果を高めたり、失敗しないために必要なことというのは、わかっていて、使う素材がどうかというが一番の問題だった。
実際に素材を入れた後は混ぜるだけなので、そこに関しては誰がやっても同じだろう。
たぶん……
では、次に素材を良くするために必要なことと言われているのは、厳選だ。
薬草だったり、水だったりを厳選して使用することで、いい回復薬を作ることができるというものだった。
では、俺のやり方はというと……
いつもの穴をついたやり方だ。
重要になってくるのは、紹介していたすり鉢だ。
これを扱うことによって、よりいい回復薬を作ることが可能になっている。
まずは、薬草の一部をすり鉢にかける。
ごりごりと力を込めて潰していくと、薬草は当たり前だがつぶれていく。
そして、ここで一つのことが起こってくる。
それは、潰した薬草から汁が出ていることだ。
潰せば潰すほど、その量は増していく。
「ねえ、これって」
「お、やっぱりわかるか?」
「当たり前でしょ?これを見て、何をしたいのかわからないのなら、それはバカでしょ」
亜紀が考えていることというのは、正しい。
俺がこれからやることというのは、本来であれば綺麗な水を素材として使うはずだったが、今回は水の代わりに、この薬草を潰して出た汁を使うことになる。
「じゃ、混ぜていくか」
薬草を入れていたフラスコに汁を放り込み、混ぜていく。
二つが混ざり合ってできたのは、緑色の液体。
そう、回復薬だった。
「成功だな」
「簡単にできたわね」
「だな。普通なら、簡単にはできないからな」
「そうなの?」
「ああ、一応成功率は普通の作り方で三割くらいだな」
「じゃあ、今やったやり方は?」
「おおよそ、九割だな」
「え?完全にバグじゃん」
「だから言ってるだろ?いろいろヤバいやり方だってな」
「そこまでとは思わないからね」
「まあな、じゃあ、ちょっと量産していくか」
「仕方ないわね」
こうして俺たちは採っていた材料で、回復薬を作っていく。
少しの時間で二十個ほどの回復薬が完成した。
「よし、十分だな」
「そうなの?こういうのって、もっと作るイメージがあるんだけど」
「素材がないから仕方ないだろ?それに、まだまだやることがあるからな」
「やること?」
「ああ、やることだ」
「嫌な、笑みね」
「まあ、夜なるまで待つか」
そうして俺たちは夜になるまで待つと、再度薬草が採れる場所へとやってきた。
昼間に結構採られたこともあり、薬草は一部分なくなっている。
数日たてば、また採取可能にはなるが、そんなに待つのは面倒くさい。
そこで、これだ。
「ねえ、もしかして」
「ああ、そのもしかしてだ」
俺は、薬草が生えていた場所に回復薬をドバドバとかけるのだった。
読んでいただきありがとうございます。
よければ次もよろしくお願いします。




