2ゲーム目 ゲームの内容は
「落ち着いたか?」
「ああ?面倒くさいことになって落ち着けるか!」
亜紀は俺に口汚く言い放つ。
酷い言われようだ。
俺がこんなゲームにしたわけではないのに……
デスゲームになったと言われて、本当なのか確かめるべく、全員が恐らくやったであろうログアウト画面を調べるために、このゲームで俺たちのような世界の転生者にある大きな時計のようなものにはすべてを確認するために必要なものが搭載されているが、それを操作して確認をしたのだが、当たり前のようにログアウトはできなかった。
「ログアウトができないな」
「わかってんだよ、そんなこと!あたしはどうすればいいのかって言ってんだ」
「わからん」
「ふざけんな!管理者権限とかないのかよ!」
「あったところで、使えないからな!変更されてんだって!」
ゲームの根本は同じだとはいえ、そんなところは当たり前に変更されている。
だから、できることといえば、どうやれば効率的にいろいろなことができるかを知っているということくらいだ。
クリエイティブオンラインは、俺が根本を作った。
だからこそ、できることの多さには自信がある。
例えば、職業というものが存在しないというのも、一ついいところだ。
全てのプレイヤーは等しく、全てのことができるようになっている。
どれを極めるのかを含めて、それはプレーヤー次第だ。
というのは、俺が作っていたもので、現状プレーヤーとしては同じだ。
違うところは魔王城なるものがあって、そこは真っ黒で恐らく先ほどのフードを被った男がいるというところか……
「どっちにしろ、最速でクリアを目指すしかないだろうな」
「じゃあ、その内容を教えろよ!」
「落ち着け、落ち着けって!」
「落ち着いてられるか!」
このとき、亜紀が怒っているのには理由があった。
まあ、当たり前だが、亜紀はこの横にいる男である、遊夜のことが大好きだ。
態度にはなるべくださないようにしているが、腐れ縁だとは言っているが、当たり前のように時間を作っては遊夜に付き合っている。
だからこそ、もし部屋で襲われてもいいようにと、下着には過激なものをつけているのだ。
そんな過激な下着を遊夜以外に見られたくないということが、キレている理由なのだが、そんなことを全く知らない遊夜は、ただどうすれば落ち着くのかを考えている。
そこで思いついたのが、頭をなでるということだ。
亜紀はかなり怒っているし、怖く見えるがこう見えても身長が低い。
昔から、その頭をよく撫でていたことがあった。
「ふぁ!お前な……」
何かを言いかけたが、亜紀はすぐに口を閉ざす。
「どうだ、落ち着いたか?」
「うん、ごめん」
「いいよ。俺のゲームに付き合ってもらったせいで、こうなったわけだしな」
「うん、それについては、現実世界に帰ってから、ちゃんと責任を取らせるか」
「わかった。それでいいよ。それじゃ、行くか!」
やっとく落ち着いてくれた亜紀の手を俺は引っ張る。
「どこに?」
「決まってるだろ?次のクエストにだ!」
「次のクエスト?」
「そうだ。どうせ、デスゲームになったこいつをクリアしないといけないからな」
「だからって、すぐに行動するのもどうかと思うけど」
「いや、さっさとやろう。じゃないと死者がでるだろう?」
「そうだけど」
俺たちはさっさとこのゲームの攻略をするために必要なことをする。
あの魔王城?
空にある場所に行くためには、必要なものがある。
名前はあってるかわからないが、自由の翼と俺が適当に名付けたものだ。
これを作るために必要な素材を集めるためには、最初の町である、スタートからかなり離れた場所であるラストという都市の近くにある山、デスマウンテンにいる、ペガサスというモンスターを倒すことによってとれる素材だ。
だけど、そこまで行くのには最短でも一か月近くかかる。
普通にやればだが……
「ま、そういうことだ」
「説明がよくわからないんだけど」
「だから、普通にやったら一か月は最短でもかかるってことだ」
「それは、聞いてたわよ。そんな時間かけてられない!」
「ま、それについては俺も同じ意見だ。だから、あることをする」
「あること?」
「ま、そこがこのクリエイティブオンラインのいいところだ」
なんでもできることがクリエイティブオンラインではあるが、多くのやることは名前の通りクリエイティブ。
作らないことにはどうしようもない。
それは、武器やスキル、魔法であっても過言ではない。
とはいえ、最初から使うものは決まっている。
「これってピッケル?」
「ああ。こいつで採掘だ」
「どうしてそうなるのよ」
「どうしてって言われてもだな。武器を作るためには鉱石が必要だからだ」
「魔法じゃダメなの?」
「魔法はな……確かに強い。だけどだな、魔導本じゃない限りは全部一回しか使えないからな」
「え?魔法って簡単に使えるものじゃないの?」
「ちげえよ。俺が作ったのは、なんでも作れるものだからな」
魔法を使うにしても、魔導書というものを作らないといけない。
それに必要なものというのが、モンスターの素材と書だ。
それを合わせて作ることができるのが魔導書であり、一つで一回の魔法が使えるもので、持ち歩くのもまあまあ大変だ。
「そういえば、ステータスってあるの?」
「いや、ないな」
「はあ?どういうこと?」
「仕方ないだろ?クリエイティブに力を入れたことで、レベルなんかの要素は入れてないんだ。素材を組み合わせることで、できることが増えていくっていうのが、このゲームの売りだったんだ」
「ふーん」
「聞いておいて、興味なさそうな返事を返すなよな。でも、いいことだってあるからな」
「なによ」
「どんなクリエイティブもレベルに関係なく可能だってことだ」
「どういうこと?」
「だから、逆にやれば、素材さえあれば、どんなものでも作れるってことだ」
「なるほど。で?今回作るのはなんなの?」
「ああ、訓練用ソードだ」
「はあ?」
名前を聞いて、何を言っているのかと疑問に思っただろう。
だが、これについては作った本人にだけ、最初からわかっていることも存在する。
それを試すいい機会だ。
俺はバカを見る目の亜紀を引き連れて、坑道に入るのだった。
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