18ゲーム目 アイテム売買と購入と
酷い目にあったな……
俺はそう思いながらも、なんとか体を起こす。
よかったことは、体が特に痛くないことだろうか?
現実世界であれば、最低でも骨折しただろうという勢いだ。
「大丈夫か?」
「うん、遊夜こそ大丈夫?」
「まあな、ゲーム世界の体の使い方くらいはわかってるつもりだ」
「あたしも、もう少しゲームの体をうまく使えたらな」
「今でも十分だぞ」
「そう?」
「ああ」
力についてはと口にはできないが……
本当に床の下には何かがあったらしく、亜紀の力によって床が抜けたため、下まで落ちてきたことになる。
ゲームの世界でよくある、受け身をとったからこそなんとかなったが……
普通であれば、これでゲームオーバーになってもおかしくなかったな。
ま、結局のところ、俺たちが探し求めていたものである買い物ができる場所が見つかったので結果オーライだった。
「いろいろあったが、見つかったからよかっただろ?」
「そうね」
これ以上余計なことを言ってしまって面倒なことになるほうがよくないことだとわかっているからだ。
俺はそのまま、店員と思われる人に話しかける。
「商品を見てもいいか?」
「どうぞ、棚から商品をこちらに持ってくれば、支払いします」
「ちなみに売れるか?」
「売却をする場合は、商品を持ってきてもらえれば、ここで鑑定いたします」
「なるほどな、だったらさっそく並べてみるか」
「並べるのはいいけど、そんなにアイテム持ってたっけ?」
「任せろ、何が使えるものかはわかってるからな、合間に採取しておいた」
俺はそう言葉にすると、いろいろな種類の草や木を並べていく。
ここ地下都市オワリで採れるものというのは、地下ということもあり、多くはそういった場所でなるものといえばいいだろう。
鉱石や、草木もあるとすれば夜香草のような夜にしか採取できないようなものになるだろう。
普通に採取できるものが採れないというのが、地下という存在だ。
だからこそ、前もって覚えていたアイテムをここで出しておく。
どうせ作れるものというのも、簡単な回復薬くらいだからだ。
「こちらのアイテムであれば、一つ五百ゼマニーになります」
「おお、やっぱり高いな」
「そうなの?」
「ああ、地上だと一つ五十くらいだぞ?」
「え?十倍なんだ」
「ああ、簡単に金持ちになれるな」
予想通り、出したアイテムは地上ではあまり値段がつくものではないが、ここ地下ではかなりの値段になるようだ。
一つ十倍で売れるということは、簡単にお金を稼げてしまう。
だが、問題もちゃんとある。
それは……
「一応作れるものを確認したいからな、全部売るってのはダメだな」
「そこは仕方ないんじゃない?」
「そうなんだけどな。この地下都市と地上が行き来できる方法があったら、もっと稼げるのにな」
「そう思うなら、来た場所から戻ればいいんじゃない?」
「できないこと、わかってるだろ?」
俺は呆れたように返す。
少し前にさかのぼるが、鉱石を掘る前。
俺たちは一度地上に戻れないのかと思い、案内された道を戻ろうとしたのだが、入ってきた場所というのはただの壁になっており、どうやったら開けられるのかさっぱりわからなかった。
まあ、よくよく考えると、入るときはどうやったのか見れたのに、閉まるときは勝手に閉まったのだ。
だからか、入ってきたのに出ることはできない。
出るためには、少女が言っていたレジェンドゴブリンをどうにかするくらいしかないだろう。
だからこそ、少しでも高く売って、いいものを買って、使えるものを作る。
これが今から俺たちがすることだ。
「何を買うかだよな」
「並んでる商品を見て、何が何だかわかるの?」
「いや、正直なところわかるやつとわからないやつがあるな」
「どうして?」
「どうしてって、亜紀……ここはどこだ?」
「地下都市だけど」
「その地下都市のことを俺は知ってたか?」
「知らなかったね」
「だろう?そこは当たり前だ。だって俺が作ったときには、こんな場所存在しなかったからな」
「そうなんだ」
「ああ……」
だから、いくつかは確かに知っているアイテムもあった。
だけど、よくわからないものというのも存在している。
何に使えるのか、何が作れるのかわからない以上は、気になったものについては買うしかない。
俺はいくつかのアイテムを手に取ると、購入していく。
最初は俺と同じようにいくつかを見ていた亜紀だったが、途中で飽きたのか、素材系のアイテム以外の場所を見ていた。
そんなときだった。
「これって!」
「どうかしたのか?」
亜紀が驚くということはよっぽどの何かがあったのだろうと思ってみてみると、そこにあったのは、禍々しい鎧だった。
どう考えても、呪いが宿っているであろう見た目をしている。
「なあ、どうしたいんだ、これ」
「え?なんとなく装備したくならない?」
「ならねえよ。そもそもこういうものは無駄に強力だったりするせいで、俺はゲームに登場させたくないんだよ」
「そうなの?」
「そうだ」
まさか、こんなことまでしているとは思っていなかった俺は頭を抱えそうになる。
こういう装備というのは、ゲームを根本から破壊するから嫌だった。
だって、このゲームはクリエイティブオンライン。
最強のものを作るのであれば許容できるが、最初から最強のものというのは許容できない。
俺は忌々しいものを見るようにして、その前を通り過ぎると、再度買い物を続けるのだった。
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