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作者の作った異世界設定が気に入らない  作者: さば缶
第3章 “おっさんチート&スローライフ&配信ファンタジー”
9/15

野菜価格の大暴落、止まらないハーレム騒動

 翌日、村のささやかな市場は一瞬にして野菜で埋め尽くされた。

トマトやナス、ジャガイモやキャベツなどが山積みになり、行き場を失ったおばちゃんたちが右往左往している。


「おや、こんなに野菜があふれちゃったら……値段が下がりまくりですよ!」


「ほんとだよ、どこを見ても同じ野菜ばっかりだし、お客さんの買い手が全然追いつかないわ!」


 早朝から野菜を売り始めた村人たちは、あまりにも量が多すぎて値段をどんどん下げなければならなくなった。

朝には1個10コインだったキャベツが昼には半額、夕方には1コインでも売れず、ついには「タダでも持っていって!」と叫ぶ状況に。

見かねたモブ子が「こんなの経済破綻じゃ……」と青ざめる。


「ご、ごめんなさい。私、スローライフで配信やろうとか浮かれてたけど、こんな下手なチート、誰も得してないんじゃ……」


 一方、ハーレム騒動もとんでもない事態を迎えていた。

ヴォイドの前には村娘たちがどんどん押し寄せ、「あなたのチート農法をずっと見ていたい!」「私がお世話させてください!」と半ば押し売りのようにアピール。

しかも「あ、あの、うちの妹も良かったら……」と親族まで引き連れてくる。


「いやいや、ちょっと待て。おれはおっさん勇者だけど、こんなに囲まれても困るんだが……」


「そんなことおっしゃらずに、どうかお気に入りを決めてくださいませ!」


 ハーレム候補が一気に20人、30人と増え、ヴォイドは完全に身動きが取れなくなる。

リリアは遠巻きにそれを見て「ぷっ」と噴き出した。


「本当にハーレム大爆発ね。スローライフなのに一番の騒動を起こしてどうするのよ」


「しかも配信しようと思ったのに、魔力回線がパンクしてるのかノイズだらけで……結局映像が飛んじゃうんです! このネタ、配信で盛り上がるかと思ったのに……!」


 壊れた配信装置を抱えて悲鳴をあげるモブ子。

リリアも側で「スローライフのはずが、まるで騒音まみれね……」とため息をついた。


「まあ、ある意味ドタバタコメディにはなってるけど、本当に皆ハッピーとは言えないわよね」


「おれもこうなるとは思わなかったんだ……」


「ごめん、春人。おれは正直、こんなハーレム望んでなかった……彼女たちは悪い人じゃないんだが、人数が多すぎて処理しきれん!」


「確かに、こんだけ混乱してるとまともに暮らせないし……どうするんだよ。せっかく要素盛りまくっても破綻してるじゃん」


リリアはどこか開き直ったように天に向かって叫んだ。


「作者ーーー! 詰め込みすぎは破綻するって、もうわかったでしょ! 次はもっと落ち着いた世界にしてちょうだい!」


「おれもスローライフはいいが、無制限のチートは考えものだ……ハーレムも押し付けられると大変すぎる!」


 ヴォイドとモブ子も異口同音に「もう少し整合性のある世界がいい!」と訴える。


リリアが険しい顔のまま、「じゃあ、次はTSも追加しよう。流行りだし」と口走る。

モブ子が「TSもの……性転換とか……?」と驚き、ヴォイドは「性転換も面白そうだな」と笑い、春人は「ここまで来たら本当に何でもアリだな」と半ば呆れた表情になる。


リリアは高らかに天を仰ぎ、叫ぶように口を開いた。

「作者ーーー! 私たちはまだまだ満足してないわ! TSだろうが何だろうが、全部盛りにしちゃいましょう!」


「もうちょっと待とうよ、これ以上混ぜたら……」

春人の制止は空しく、リリア・ヴォイド・モブ子の三人が一斉に強い要求の声を上げる。

直後、村の風景がぼやけて音も色も消え入り、あたりを白い光が覆った。

「またかよ……もう少し落ち着きたかったのに」

春人は嘆息しながら、その眩しさに目を閉じた。

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