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作者の作った異世界設定が気に入らない  作者: さば缶
第3章 “おっさんチート&スローライフ&配信ファンタジー”
8/15

おっさんチートで始まる村騒動? 配信の準備も大混乱

 翌朝、ヴォイドがおっさん姿のまま畑に立っていた。

杖を軽く振り下ろすと、土がふわりと光を放ち、種が目に見える速度で発芽し始める。

それを見た農民たちがわあっと歓声をあげ、スローライフどころか“チート全開”な光景が広がった。


「いやあ、勇者さま、本当に種まきから収穫まで一瞬じゃないですか! 助かりますよ、これなら村も豊かになりそうだ」


「おれ自身は大して苦労しないんだが……こんなに一気に育って大丈夫なのか?」


 ヴォイドが杖を構えながら首をかしげると、隣でリリアが淡々と言い放つ。


「こんな簡単に実ったら、市場に出すにも量が多すぎて困るでしょうに。スローライフのはずが、むしろ忙しくなるんじゃないの?」


 その言葉に農民たちはそわそわし始める。

一方、モブ子は村の小屋に腰を下ろし、手にした箱を熱心にいじくっていた。


「この“魔導配信装置”を使って、私、ライブ配信をやってみたいんです。まだ誰も試したことのない“農作業生中継”みたいなのをやれたら面白そうじゃないですか?」


「農作業配信……ターゲットは誰なんだろうな。村の人は見に来るのか?」


 春人があきれ半分でツッコむと、モブ子は「ネット配信は夢が広がりますよ!」と嬉々として返す。

しかし、リリアは呆れ顔で腕を組み、あたりを見回した。


「電気や魔力の回線ってあるのかしら。果たして配信はうまく行くの」


「村人に聞いたら、『なんとかなるんじゃない?』って軽く返されましたよ。つまり作者まかせってことですね」


 モブ子は苦笑しつつ装置をいじり、白いスクリーンのような魔力画面がうっすら浮かび上がるが、ノイズが激しくて安定しない。


 一方、ヴォイドは作物をどんどん育ててしまい、リリアは「そんなに早く育てたら作物が余るんじゃ……?」とあきれ気味。

そもそもスローライフらしさがどこにも感じられず、春人は早くも嫌な予感をこらえきれない。


「これ、絶対また混乱するだけじゃないか? “配信やって、のんびりチート農業でハーレム”って、要素が詰め込みすぎだよ」


「そんなの、まだ始まったばかりじゃない。もっと派手にやってみればいいのよ。ハーレムだって配信のネタになるかもでしょ?」


 リリアが笑って言い放つと、どこからか若い娘たちが数名やってきてヴォイドを取り囲む。「勇者さま、収穫を手伝いますから仲良くしましょう!」などと手を引っ張っていく。

すでにハーレムへの道が開きかかっているようだ。


「お、おれは別にハーレム好きってわけじゃ……ああ、もう!」


 ヴォイドは苦手そうな顔で娘たちに連行され、畑へ連れ戻される。

村の人々は一様に楽しそうだが、舞台裏の仕掛けが不安定に見えるのは春人だけではない。

モブ子は「配信開始ボタンがあるのに、魔力がうまく繋がらないんですけど……」と不満を漏らし、リリアは「こんなスローライフ、ちっとも落ち着かないじゃない」と毒づく。


「とにかく、様子を見守るしかないよな。失敗しそうなら途中で止めないと……後が怖いぞ」


 春人の苦い声が風に消えていく。

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