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作者の作った異世界設定が気に入らない  作者: さば缶
第4章 “TSファンタジー&ハーレム祭り”
12/15

世界が限界を超えて、大混乱へ

 翌朝になると、リリア(♂)が滞在している宿の前に集まるのは女性だけではなくなってきた。

ショタ化ヴォイドを求めるお姉さま方、女体化春人(♀)を口説きたい男連中が集合し、まるでサーカスのようなにぎわいに発展している。


「リオン様、お弁当を作ってきました~!」「ショタの子、どこにいるの? もう一回だけ抱っこさせて~」「お嬢さん、綺麗な髪だね。一緒に散歩でもどうかな?」


 あらゆる声が飛び交い、宿の主人がパニックを起こして「これは営業妨害だぞ…!」と叫ぶほどの大混雑。

リリア(♂)が戸を開けた瞬間、あちらこちらから歓声と悲鳴が同時に上がり、まるで人気アイドルの出待ちのような様相だ。

春人(♀)は目を回しつつ、ヒールで人混みを縫っていこうとするが、男性ファン数名に捕まってしまう。


「ちょ、ちょっと離して…おれ、そんな…!」「だって可愛いんだもん。誰もが口説きたいって思うはずさ」


 同時に、ヴォイド(少年)のあたりではショタコンお姉さま軍団が「一緒に甘いお菓子食べましょうね~!」「危ないことなんてさせないわよ」と両腕をつかんできて、ヴォイド(少年)は顔を真っ赤にして悲鳴を上げる。


「こんな形で人気が出ても嬉しくないんだよ、離せーっ!」


「私も限界です…! 守れなくてごめんなさい」


 モブ子はヴォイドに群がる女性陣を食い止めきれず、右往左往している。

誰の声もかき消されて、ハーレムどころか誰が誰を口説いているのかもわからない混沌へ突入した。


「もう詰め込みすぎて、もう限界なんじゃないか?」


 春人(♀)が腕をつかんできた男たちをなんとか振りほどきながら、ぼそりとつぶやく。

ヴォイド(少年)はお姉さま方に「もう、おれを放してくれ!」と叫んで逃げ出し、リリア(♂)は大量の女性ファンに囲まれたまま青ざめた表情で空を睨む。


「やっぱり詰め込みすぎると無理が生じるってわけね。作者ーーー! もうちょっと緩やかな世界に戻しなさいよ!」


「そうだ! こんなの制御不能じゃないか!」


 春人(♀)、ヴォイド(少年)、モブ子が一斉に声を上げる中、リリア(♂)が「こんな暴走はもうごめんだわ」と天へ叫ぶと、空の裂け目から白い光がどんどん広がって町全体を覆い始める。

人々の悲鳴や息遣いがかき消され、建物や道がぼやけてゆく。


「こんなTSハーレムも悪くなかったけど…さすがにやりすぎかもね」


 リリア(♂)が小さく呟いた瞬間、宿も路地も、周囲にいた大勢のファンまでもが光のかたまりに飲み込まれる。

ショタコンお姉さま方が「やだ、もっとショタちゃんと遊びたい…!」と断末魔のような声を上げ、春人(♀)を囲んでいた男たちも混乱した叫びを残して消えていく。


「もう次こそは落ち着いた世界を頼む……」


 春人(♀)が光の洪水の中で声を振り絞るが、すぐに意識が攫われるような感覚に沈んでしまう。

TSにハーレム、ショタコン猛攻と男からの口説きが入り乱れた世界は、大混乱を演出しただけで終わりを迎えた。

四人の体が空間の歪みに引きずり込まれ、見慣れた白い閃光に支配された視界が何もかも切り取っていく。

どこへ向かうかはわからないが、誰もが心底から「もう次は普通にしてくれ…」と思っていた。

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