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第八話-1 銀化粧

『能面』という組織が最初にその存在を確認されたのは、神暦五九八二年の先進国家連邦である。国内で多大な影響力を持つ企業の役員が、ウェイバー倉庫街で惨殺されているのが発見された。遺体は原形をとどめないほどに何度も殴打された形跡があり、連邦警察のDNA解析技術がなければ、身元の特定は難航したこと疑いない。


 警察からの発表もあり事件の情報が広まると、社会は大きく揺らいだ。企業は社会に広く流通する日用品を販売する事業があり、役員の急死による影響が懸念されたのだ。その時点ではまだ懸念で済んでいたのだが、事件の報道から数日経過しても捜査に進展が見られず、次第に治安の不安も蔓延し始めた。


 そんな中、ある人物からの依頼で役員を暗殺した、という犯行声明が、連邦中の主要メディアに送りつけられ一斉に報道される。犯行声明の主は自らを『能面』と名乗り、今後も依頼があり次第暗殺を実行していく、と宣言。連邦市民を混乱と不安に陥れた。


「それからは、連邦の警察や対外情報局が全力で捜査に当たっていた。だがその後も『能面』による犯行は続き、連邦では何人もの死者が出ている。政治家、公務員、私企業の有力者……対外情報局は『能面』を単独犯ではなく組織犯だと掴んだが、潜入しようとした工作員が逆に殺害されたこともある」


『七星』が解説したのは、高難度任務を与えられたことに対する愚痴を誰かに吐き出したい心境があったためかもしれない。捜索結果の共有のため一度『幻想郷』に集合した際、冬雪はそのような印象を受けた。どことなく憮然とした態度だったのだ。


「本来なら二等工作員ではなく、スパイチーム単位で遂行すべき任務のはずだ、例えば君たち『幻影』のような」


「二等工作員のスパイチームでもあれば、また違ったんですかね」


「噂だが、今後実際に二等工作員が単独行動できる制度をなくす計画を上層部が立てているとも聞く。あまりに二等工作員が死にすぎるものだから、一人で行動させられない、ということらしい」


「子ども扱いじゃないですか……」


 冬雪たちが暇をつぶしているのは、岩倉とアーニャの帰還を待っているためだ。しかし、事前に連絡した時刻になっても、二人は『幻想郷』に戻らなかった。


「冬雪」


「何です、ボス?」


「あいつらに通信はできないか?」


「『幻想郷』を中継地点にすれば、理論上は可能になる技術は持ってますけどねえ、未検証でもとりあえず搭載しておくんでしたかね」


 零火から日本からの急報を受け取るために考案した技術だったが、まだ実地試験が済んでいないのだ。


『幻想郷』には固定した通信装置を冬雪が設置しているため、第二世界空間にいる限りはどこにいても携帯用の通信装置から『幻想郷』に通信を繋げることができる。これは『幻想郷』に設置した通信装置の座標が決まっているためで、転移魔術を応用した通信装置の特性上、接続が容易になるためだ。


 反対に、『幻想郷』から『幻影』の各メンバーが持つ通信装置への接続は、半径五〇〇レイア(一〇〇〇メートル)圏内でなければ不可能になる。これは携帯される通信装置の座標が常に変動するためで、接続するには呪術魔法を使用した探知可能範囲内にいなければならない。


 携帯用の通信装置同士での通信が探知可能範囲内でなければ不可能なのは、そういった理由があるのだ。冬雪はその限界を撤廃する技術を考案してはいるのだが、まだ理論だけで、実際に通信装置に組み込む段階には至っていない、机上の空論である。


「下手に机上の空論を実装すると、後が怖いですからねえ」


 その後、岩倉から『幻想郷』に通信が入るまでに、約一時間の時間を要した。

読者の皆様方の立場では知ったこっちゃないかと思われますが、実は第八話はまだ全文が書き終わっておりません。なので執筆状況によっては、公開した分でも後から修正が入る可能性がありますのでご了承ください。

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