表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/269

1話 芋餅 4


 ※※※


 それから暫くし、ーー

 ようやくサーラは作業を終える。再び居間に戻ると食卓のテーブルに突っ伏して、一息ついたのだった。

 主に洗濯や掃除にゴミ出しだ。

 多岐に渡っていたが全く滞りなかった。もう慣れていたのである。

 しかし、もう朝食には少し時間が過ぎていた。

 さらに日は登り、朝と昼の間の頃合いだ。

 「あぁ、腹が減ったの。…」

 とサーラはぼやきつつ、徐にキッチンへ赴くと、鍋に残ったスープを、自分の皿によそっていた。

 だが彼女は食卓を眺めると、

 「…でも、あれだけじゃ腹持ちが少ないから、もう一工夫するか。」

 と呟き、今度は全く違う調理に取り掛かっていく。

 まずはじゃがいもを皮のついた状態で、再び沸騰した鍋に入れていく。

 湯で上がったら芋の皮を剥いて、鉢と擂り粉木で、擂り潰す。

 それを小麦粉と塩を混ぜながら、練って平べったく形成する。最後に表面に油を塗りたくり、今度は釜戸の火でこんがりと色がつくまで焼いていた。

 やがて出来たのは、芋もちである。

 残りのパンとカブのスープを付けて、それなりの量になる。

 すぐにサーラは食前の祈りを済ませてから、口に運び、咀嚼していく。

 芋もちは、外側がカリッとした歯ごたえがし、中身はしっとりでもちもちとする。

 また味変にスープに浸して食べてみても、カブの甘さが溶けた汁が纏わり付いて美味しさが増した。

 「相変わらず、美味しいのぉ。」

 とサーラは呟きながら、不思議な感覚になる。芋もちは生まれて初めて作った。だが作り方から味までを完璧に覚えている。

 因みに父が嗜めた爺むさい口調も、同じである。昔から違和感なく喋っていたとすら覚えていた。

 彼女の頭の中では、やや疑問に感じた。しかし、今は深くは考えずに、お腹を満たす事を優先していた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ