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遥か昔の記憶 5

さらには巷では、流行り病も蔓延しており、大勢の国民の命を失う危機に瀕していた。

 もちろん【マルフィア】も例外ではない。

 多くの人々は故郷を捨ててしまった。他国に逃げて難を逃れる為だ。

 そしてラーサも、流行り病に掛かってしまい、屋敷の自室で床に伏せている。

 「うぅ、……。」

 「……ラーサ様。」

 彼の眠るベッドの周りには、全ての使用人達が囲む様に並び立つ。

 全員が暗い表情で俯きながら佇んでいる。

 また女性や子供の中には、鼻を啜り、涙を堪えて声を押し殺す者もいる。

 部屋の中には、重く苦しい空気が漂っていた。

 ラーサは子供達を見渡すと、弱々しくも笑顔を浮かべて、最後の力を振り絞りながら、

 「泣くではない。…今は辛いかもしれない。…しかし、何時の日か必ず、…。…また楽しい日々が来る筈じゃ。…その時は、…皆で食卓を囲んで旨い料理でも食べよ、…う。」

 と、か細い声で話かけたのだった。

 その後には、何が起こったのかは解らない。

 だが朧気に彼は覚えている。目蓋を閉じたと同時に、眩い光が視界を覆う。さらに全身をふわふわとした感覚が包んでいた。


 ※※※


 そうしてサーラは、なんとなく懐かしさを感じており、やがて強い眠気に誘われると、意識を手放してしまった。小さな寝息を立てて、安心した様な表情を浮かべていた。

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