間章 頑張る話 9
トトト、…。
ふと時同じくして、廊下の方から足音が近づいてきたようだ。
それに、大人達は誰一人として気がついてない。ずっと話に集中してしまっている。
この場でサーラだけは、音のする方を振り向いた。さらに自ずと作業台から離れると、少しだけ扉を開けて隙間から覗き込む。
すると扉の向こう側には、メローナがいた。ちょうど扉の前に立っており、手を伸ばして開けようとしていた。
「ほえ?」
「きゃっ?!」
彼女達は同時に驚いてしまい、互いに顔を凝視する。
「…あ、あの。…」
と、メローナが先に我に返ると、話しかけてきた。
「…ま、まだ。…お話するのに、時間は掛かるのかしら?」
「…どうしたの?」
「えっと、…あの。…お、お爺様の部屋に行きたいの。…だから、誰か付いて来てほしくて。」
「いいよ。」
それをサーラは聞くと、すぐに返事をし、メローナの手を掴んで歩きだす。
対してメローナは、引っ張られ体勢を崩しそうになるも、慌てて足を動かして後を付いていく。
そうして彼女達は、廊下を突き進んでいき、エントランスから階段を上がって二階へと向かった。
因みに、時同じくして、リリャーが入れ違いで厨房に辿り着いたのだった。




