2話 5章 蜂蜜レモン水/手作り素麺(そうめん) 7
やがて彼女達は店を後にした。
因みに外へと出ていく際に、ジュスティーヌがカウンターに、代金を置いて行っている。
それから真っ先にサーラは、人集りの方に合流する。さらに人の間を通り抜けて行き、白髪の医者に近寄ると、蜂蜜檸檬水のコップを手渡した。
「はい、これ!」
「ん?…あ、あぁ。」
と彼もコップを受けとった。やや訝しげに中を確認すると、再びマーチスの口を開けて、中身を流し込んでいた。
「ほら、これなら飲めるじゃろう。」
「う、…」
と、マーチスは少し身を捩って抵抗するも、段々と自力で蜂蜜檸檬水を飲みだす。
やがて一杯分を、飲み干した。
すかさずジュスティーヌが気がつき、ピッチャーからコップにお代わりを注ぎ足す。
それもマーチスは、ゆっくりとした動きながらも、飲んでいく。
その様子に誰かが唾を飲んでいる。
さらに人集りの中で、ちらほらと何人かが同じ事をしていた。
「…」
ようやくしてマーチスは、呼吸が安定してきていた。
「ふぅ。…この人も、ある程度は落ち着いたようだわい。…しかし、まだ油断ならぬ。…急いで屋内に連れて行った方がよいじゃろう。」
と、白髪の老人が汗を拭いつつ、指示を飛ばす。
真っ先にジョンドは返事をしだし、
「わかりました。…では、…すぐに屋敷に戻ります。…皆様、今一度だけ御協力をお願いします。」
と、再び周りに声をかけていく。
屋台の店主達も、互いに頷き合うと行動に移りだして、マーチスの身体を運びだした。




