間章 波乱の事件と再開 23
「あぁ、確かに。そんな噂、聞いた事あるかも。…」
と、リリャーは呟き、小首を傾げながら思考を巡らせる。
そのまま大人達だけで話をしていたのだった。
彼方此方から、様々な言葉が飛び交う。
「やはり、前々から思っていたんだ。…ちゃんと領主様に、また御願いして、対処してもらうのが良いのじゃないか?」
「…だよなぁ、…また話に行ってみるか。」
「いや、しかし、前も対応中だと、言われたじゃないか。…」
「でもなぁ、…」
その結果、話は平行線を辿り続け、意見が煮えきらずにいる。
次第に辺りには、不穏な雰囲気が漂いだしていた。
「だ、誰か!!」
その時、何処かから男性の大きな声がしてくる。
すぐにサーラが顔を動かして、辺りを見回す。
周囲の大人達も、同じく四方八方に目を向けていた。
すると誰かが「あっちだ!」と叫び、人々の視線が集まりだす。
その方向には、ジョンドがいた。真っ直ぐに此方方へと走ってきていた。さらに辿り着くと、肩で息をしており、必死に整えだす。
「どうしたのですか?…ジョンド執事長?」
真っ先にジュスティーヌが気がつき、側まで行って話しかけだした。
ジョンドも、すかさず彼女の両肩に掴みかかって、
「…あぁ、ジュスティーヌ?!…た、大変なんだ!?…マーチス様、マーチス様が倒れて、動かないんだ!」
と、続け様に事情を説明をする。
「お、お祖父様が!?」
それをメローナは、話を聞いた途端に慌てふためく。
さらにジュスティーヌも驚愕した表情で、目を見開きながら固まった様に動かなくなる。
またサーラや周囲のアニタ達にも伝わり、激しく動揺した様子が露となる。
それが次々と人々に伝染していき、ただ事ではないと感じていた。




