2話 四章 手作りクッキー/すみれ茶 19
「あの、…そう言えば、メローナ様。…これをあげる人って、名前とか知らないのですか?」
その時、トーニャが何気なく、小声で質問してきた。両目が輝きだし、両手を握りしめながら上下に振っている。期待に胸を膨らませていた。
「…いえ、あの方が去る時に、名前をお聞きしましたわ。…確か、…アニタさんと言う方で、ハンターをしている女性の方でしたの。」
と、すかさずメローナも恥ずかしそうな仕草をしながらも、嬉しそうに答えていた。
「えぇ!?…アニタさん?!」
それにサーラがは、声を出して驚いた。話が聞こえたら、知っている名前が出てきたからだ。
次の瞬間に、周囲の人々の視線がサーラの方に集まった。
「何ですって?」
とメローナが凝視しており、全く瞬きもしないうえに目線も外さない。さらには凄みを効かせながら、ゆっくりと距離を積めてきて、語りかけてくる。
「貴女、あの人と知り合いなんですの?」
「あ、いや。…その。…」
その結果、サーラは両手を振り乱して否定するも、やがて固まった様に動かなくなりながら、立ち尽くしていた。もはや観念してしまい、成す術ないまま抵抗しなくなった。




