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２話　四章　手作りクッキー/すみれ茶　１６

　※※※

　それから彼女達は、調理に励んでいる。

　まずブランモンが説明しながら、クッキーの行程を、最初から丁寧に実演している。

　メローナも真横の位置から、横目に眺めつつ、見様見真似で同じ様に作業している。やや小麦粉を辿々しい手つきで、ボウルに振るい入れているも、ぎこちない動きだった。また時には、慌ててしまい、材料の入った器をひっくり返そうになる。

　「あ、！？」

　「ほいっ、と。…」

　しかし、すかさずサーラも手助けをする。寸前の所で器を支えて戻すと、素知らぬ素振りをしながら、巧みに次の行程の準備を進めている。

　「あ、…ありがと、…」

　ふとメローナの声が聞こえてきた。ほぼ聞こえるかどうかの声量である。

　それを聞いて、サーラは彼女の方を振り返る。

　だがメローナは、知らない振りをしたまま作業に没頭する素振りをしていた。

　「…頑張ってね。」

　と、サーラも囁く様に呟いたら、ふと何かを思い立つ。さらには作業の合間を見計らいながら、自らも調理をしだした。同じ材料を使用して、クッキーの生地を作っているようだった。

　※※※

　そのまま暫くして、調理の工程が進んでいき、終盤に差し掛かった。

　ようやくクッキーの生地の焼成が終わろうとしている。

　「よっと。」

　とブランモンが代表して、竈の扉を開け放ち、中からクッキーの生地を取り出した。

　さらにトーニャも手伝いだし、クッキーを皿に並べだす。

　それらは丸い形をしていた。最初は綺麗な焼き色になっている。ただ全体の半分は他と比べて、生地がだれてしまっていた。

　そうしてメローナのクッキーは、出来上がったのだった。