2話 四章 手作りクッキー/すみれ茶 9
その後に、サーラは最も大きなボウルに水を入れると、生地の入ったボウルを浮かべだす。ついでに日陰の位置に置いておく。どうやら冷やしているようだ。
すると直後に、出入口の扉が開いた。
「も、戻りました。…言われた物です!…どうぞ!」
とトーニャが姿を現して、部屋の中に戻ると、手にした布の袋を差し出してきた。
「あら、ありがとう。」
それをサーラは御礼を言いつつ、笑顔で受けとると、「どれどれ?」と、袋を開けて中身を手に取る。
袋の中からは、乾燥した紫色の花びらが出てきた。
すぐにトーニャは、興味深そうに眺める。
メローナも同じく、横目で見てきていた。
サーラは周りの様子に気がつくと、説明する。
「これは、スミレの花だよ。…さっき、此処の庭師の人と話をしたら、貰えるって言ってたから、お茶にしようと思って。」
「…スミレのお茶?」
「は?!…その辺の花を、お茶にするんですの?」
彼女達は話を聞いた途端に、驚いていた。
「あぁ、いいですよね。…スミレのお茶。」
さらにブランモンも反応を示し、説明を引き継ぐ様に話に割って入りだす。
「スミレの花には、ビタミンと言う美容に良い成分や、ルチンと言う身体を丈夫にする良い成分が入っているんですよ。…お茶の色も珍しくて、薄いですが青色をしています。…私の地元でも、よく飲んでいる人がいましたよ。」




