2話 四章 手作りクッキー/すみれ茶 2
その時に二人の視線が交わった。さらに互いに会釈しながら、自ずと挨拶をしだす。
「…こんにちわ。」
「あ、あぁ。…おはよう」
「何をしているの?」
さらに、サーラから質問していた。
すると庭師の男は静かに答えてつつ、説明をする。
「…ただの草むしりだ。……此処の花は、領主様達に見せようと思ってな。…忙しい中でも、多少の癒しになればと植えたんだ。…ただ、滅多に来ないがね。」
「ふ~ん。…なら、あっちの大きな花は?」
「…サルビアの花だよ。…沢山の金や手間がかかる花でな、凄く綺麗だろう。…此処には多くの花を植えるんだ。…暑くなる前は、すみれ、とか植えたな。」
「ほほぅ、すみれ!」
それをサーラは真剣に聞いており、にんまりと笑顔になる。
「好きなのか?」
「うん、…」
「そうか。…そこの花はな、…」
と庭師の男は手を止めずに作業を続けながら、続けて話をしだす。気がつけば、普段よりも喋っていたな。と自分でも感じている。
そんな彼等の側には、再び蝶が飛来する。今度は数匹の仲間を引き連れて、周囲をジグザグに飛び回る。
それらをアリサは必死に手を伸ばして、捕まえようとしているのだった。




