2話 3章 玉葱ソースの鹿肉ハンバーグ 11
ついでにサーラも、補足説明をしだす。
「茸の方は、お肉のたんぱく質を分解する酵素があるの。他の食材よりも、ずっと多く入っているから、30分から一時間程度でも柔らかくなるの。」
「…分解する酵素?…何やら、難しい言葉を知っているのだな。」
と、マーチスは感心するも、訳が解らずに首を傾げていた。だが深くは考えずに、すぐに再び調理の工程に視線を向けていた。
その間に、ブランモンは両手に二本の包丁を持ち、肉を叩く様に切って細かくしていた。最終的に荒微塵のミンチ状にする。さらには続けて、三つの行程を平行しながら進めだした。
一つ目は、ミンチ状の肉をボウルに集めると、冷や水を張った大きめのボウルに重ねてて冷ます。さらに材料からパン、卵、油、ミルク、を用意していく。
二つ目は、パンを細かく千切って器に移し、革袋からミルクを注ぎ入れて漬け込んだ。
三つ目は、微塵切りの玉葱を半分に分けると、片方を油を敷いたフライパンに入れている。
「ブランモンさん。…お持ちしました。」
「あぁ、どうも。」
やがて作業が終わると、一人のメイドがカートを押しながら、彼の側まで近づいて来た。
そのカートには大きな四角い陶器の器が乗っている。
ついでに器の中にも、火の付いた薪がくべてある。
すぐに村長が代表して、質問しだす。
「それは何じゃ?」
「はい。…これは赤土の陶器を使った簡易的な釜戸です。…持ち運びも可能で重宝しています。」
とブランモンは答えながら、次の調理を始めだした。すぐさまフライパンを火にかけて、微塵切りの玉葱が軽く茶色になるまで炒めた。やがて頃合いを見計らうと、火から離して粗熱を取り除いた。続け様に、肉の入ったボウルに、卵や牛乳に浸したパンくず、油、塩と胡椒も投入し、中身を混ぜ合わせていく。




