2話 3章 玉葱ソースの鹿肉ハンバーグ 1
それから時は経ち、日暮れの頃となる。
屋敷の窓からは夕焼けが射し込み、廊下を辺り一面を赤く染めていた。
やがて徐々に、夕闇へと移り変わり始めていく。
此処は屋敷の一階部分の廊下である。
そこでは、一人の女性と、二人の少女が歩いていた。屋敷の奥に向かっているようだ。
先頭には、エピカがおり、何度か後ろを気にしながら、前に進んでいく。
後ろには、サーラとトーニャが付いてきており、付かず離れずの距離を保っている。
彼女達は、別々の反応を露にしていた。
サーラは苦笑いを浮かべながら、やや疲れた様な雰囲気を漂わせている。
隣でトーニャも、俯いたまま肩を落として、どんよりした雰囲気を纏っている。
なんとなく気まずい空気を漂わせているようだった。
やがて場所は移り変わり、屋敷の奥の突き当たりにまで辿り着き、最も奥の角部屋の前で止まる。
コンコン。
「ロンドさん、サーラちゃん達を連れてきたわよ。」
と、エピカが代表して、扉をノックしながら、部屋の中へと呼び掛けていた。
すると次の瞬間、部屋の扉が開くと、ロンドが姿を現した。
「あぁ!…サーラちゃん達、遅かったじゃないか!…どうかしたのかい?」
「あはは、…疲れた。」
とサーラは言いつつ、一気に脱力していた。弱々しく笑みを浮かべながら、だらんと肩を落としている。
「え?…何、どうしたの?」
とロンドも訳が解らずに、慌てふためいてしまう。
「も、申し訳ありません。」
ほぼ同時に、トーニャも頭を下げて全力で謝っていた。
「…えっとね、実は。…」
すぐさまエピカは、代表して説明しだす。
ロンドも話を聞き終えると、首を傾げながら要約している。
「……つまり、其方のメイドのお嬢さんが原因で、屋敷にいる他のお客と、ペットの犬を怖がってしまい、うちの娘を連れ回して逃げていたと。」
「えぇ、…。その途中で、私が見つけたのだけど、…本当にごめんなさい。…このトーニャは、まだ屋敷に来て日が浅くて、よく粗相をしてしまうのよ。」
とエピカは、最終的には頭を下げて、精一杯の謝罪の姿勢を示していた。




