2話 幕話 領主の屋敷、新たな出会い。3
それからサーラ達も続いて、歩きだした。
だが途中で、ーー
「うぅ~、ねぇ~。」
と、アリサが泣きそうな表情で呼び掛けながら、身震いした。
すると真っ先に、サーラが気がつくと、ハッとした様子となる。状況を理解した途端に、慌てふためきだした。
「うわぁ!!?…おトイレ、どこ!!…アリサちゃん、少し待って!…すぐに連れていくから!」
「一番に近いのは反対側の廊下で、その突き当たりのさらに奥です。」
と、ジュステーヌが指で指し示して、教えている。
その方向へと、サーラは全速力で走りだして行き、瞬く間に姿が見えなくなってしまう。
大人達も追いかけられなかった。やがて互いに顔を見合わせながら、
「サーラなら親よりも、しっかりしてるから大丈夫だろう。」
「だな。…ワシ等は疲れたし、先に部屋に行かせてもらおうか。」
と、村長夫妻が結論づけると、再び歩きだして、案内された方角に向かって進んでいった。
ロンドも後に、付いていく。
そんな様子を領主達は見届けると、すぐさまジョンドを呼びつけた。
彼等は互いに顔を見合わせながら、話をしだした。
「それでだな、ジョンド。…また例の方々がいらっしゃったのだ。…もう、屋敷の中の客間で過ごされているよ。」
まずサーディンが口火を切った。
「…話しは大雑把には、聞いております。…すぐに私が対応を行います。…出来る限り、他のお客様にも会わない様に致しますか?」
とジョンドも返事をすると、問いかけ返す。
「…それでお願いね。…出来れば、あの村の人達には、気負わせずに楽しんで貰いたいから。」
と、エピカが最後に答えると、さらに真剣な表情で付け加えていた。
「了解しました。」と、ジョンドも頷き肯定すると、颯爽と移動していく。瞬く間に屋敷の奥へと向かう
その姿をサーディンは見送ると安堵し、小さく溜め息を吐いた。だが一抹の不安を拭えずにいる。
同じくエピカも、心配そうに見つめている。
辺り一面を、不穏な空気が覆い尽くしているようだった。




