2話 幕話 領主の屋敷、新たな出会い。 1
此処は、【ネオマルフィア】の郊外。
そこには小高い丘がある。緩やかな坂道を登っていくと頂上まで続く。
その先には、二階建ての屋敷があった。街の家々と比べて、大きく立派である。
また庭も広くて、多くの花や木々が植えてあり、まるで林のようだ。
敷地の中央には、並木道が整備されており、建物から玄関口の大きな鉄の門まで一直線に伸びている。
門が解錠すると、重そうな扉が徐々に開いていく。
そこから、豪華な馬車が敷地内に入り込み、ゆっくりと建物の方へと向かって行った。
やがて屋敷の側で、三台の馬車が停車した。
先頭の車両、ーー御者台からジョンドが移動して、すかさずワゴンの扉を次々に開ける。
車内からサーラ達や、村長夫妻が降りてきた。
真っ先にサーラは、建物を見ながら呟いた。
「デッカイ!」
「確かにな。…」
「…うひゃぁ~、城みたいだ。」
と、大人達も同じく驚愕しながら、思わず声を漏らしている。
「…皆様、此方から中へどうぞ。」
ほぼ時同じくして、ジョンドが屋敷の扉を開けて、声をかけてきた。
それにサーラ達は、指示に従って進んでいく。玄関を潜り抜けると、途端に周りの様子に目を奪われだした。
その屋敷の中も、豪華な造りをしていた。
まずエントランスは天井が高く、二階部分まで吹き抜けである。さらに頭上の天窓からは、日の光が室内を照らしている。
周囲には真っ白な大理石の壁、風景画の絵画が飾ってある。
中央の壁際には、螺旋階段がある。二階へと続いているようだ。
二階部分では、多くのメイド達が手分けして掃除をしていた。
その内の一人が気がついたようである。
彼女達は、互いに目配せして合図をする。
すると最も小柄なメイドが動きだし、屋敷の奥に走っていく。
残りのメイド達は、一階へと降りて来て、一列に横並びになると、
「「ようこそ、お出でくださいました。」」
と、恭しく御辞儀をして出迎えだした。




