2話 2章 特性サンドイッチ 13
「…お客様ですよね?……大変失礼しました!!…私はブランモンと申します。」
「彼は、私と同じく主様達の御屋敷の者で、調理スタッフとして厨房で働いている方でございます。」
と、ジョンドも補足説明を入れていた。さらに続けざまに、再びブランモンの方に振り返ると、すぐさま問いただした。
「それで、ブランモン。…どうした?…まだ仕事をしている時間の筈だろう。…屋敷で何かあったのか?」
「は、はい。…実は屋敷の食材の補充を仰せつかり、屋敷の馬車を御借りして此方まで参りました。…」
「なんだと?…いつもは、月毎に行商に頼んで屋敷まで運んで貰うじゃないか。…私が出立する前に、運び入れたばかりだぞ。」
「…実は、あの方達が昨日の夜に突然やって来たのです。昨日の夕食と今朝はなんとか凌ぎました。…しかし、やはり足りなくて…今も他のスタッフと手分けして、かき集めています。」
と、ブランモンも恐る恐る答える。
それを聞いて、ジョンドは両目を見開きながら驚いて取り乱していた。
「なんと!?…あの方々がかね!?…それは大変だ!?」
「…なんだい?」
「いったい、どうした?」
「…なんか、ただ事じゃなさそうだね?」
対して村長夫妻やロンドは、互いに顔を見合せながら戸惑っている。
サーラとアリサは、共に首を傾げて様子を見ていた。
「…急ぎなら速く行った方が良いのでは?」
と、村長が代表して提案を投げ掛けたのだった。
「そうですね。…皆様、大変に申し訳ない。…お急ぎで馬車の方にお願いします!」
とジョンドも返事をすると、すぐに先導する様に前を進みながら、促してきた。
その後を、サーラ達も追いかけていく。
ブランモンも再び荷物を持ち直すと、必死に走り出した。ただし、歩く度に距離が離れていく。
やがて全員が馬車の停車した位置にたどり着くと、間髪入れずにワゴンに乗り込んだ。
それから馬車は緩やかな速度で進みだす。次第に勢いを付けて、街中の大通りを疾走していた。目指すは、遥か遠くの大きな建物に向かうのだった。




