2話 2章 特性サンドイッチ 3
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南の港町【ネオマルフィア】と、北の山々を越えた先の隣国までの間には、大きな街道が整備されている。
南側が平地で殆どが草原である。風が吹き過ぎると葉っぱが左右に揺れて、水面の様に波打つ。
その道を、サーラ達を乗せた馬車は進み続けていた。ゆっくりと南下している。
村を出てから既に五日が経過しており、目的の街まで、目と鼻の先の距離にまで差し掛かっていた。
次第に、辺りの景色も様変わりだす。
少し先の場所には、左側に海が出現した。遥か遠くまで大きく広がっており、表面は青く澄んでいて、まるで磨いた様に煌めいているようだ。
さらに、その海岸線に沿う様に右側には、大きな街があった。大小様々な高さの白い家々や建物が規則正しく建ち並ぶ。
その街の中央辺りには、巨大な時計塔が聳え立つ。まるで街の象徴の様である。
「…ネオマルフィアなのじゃ。」
とサーラは、ワゴンの窓から外を眺めながら、両目を輝かせだした。村と比較して、あやゆる物が珍しくて、目移りしているようだ。
やがて街の真正面に門が見えてきた。ゆっくりと潜り抜けたら、後ろの方へと遠ざかっていく。
そこから先は、もう街の中だ。真正面には大通りが整備されており、遥か先の時計塔まで伸びている。さらに彼方此方から、活気に溢れた声が聞こえており、至る場所に沢山の人がいるのだ。
その道から右を向けば、大きな港がある。
多くの立派な帆船が停泊していた。
近くでは船乗りの屈強な男達が作業をしており、各々が入れ替わり立ち代わりながら、荷物を陸地に下ろしていた。
また左を向けば、広い市場がある。露店商の屋台が軒を連ねて並び、日除けの下には様々な商品が陳列されている。肉、野菜、魚、日用品、土産物の類いまで溢れている。




