2話 2章 特性サンドイッチ 1
それから日が経ち、数えて七回目の朝を迎える。
その日は、蒸し暑い程である。漂う外気は多量の湿気を含んでおり、外に出れば肌に纏わりつく様に、じっとりしていた。
しかし、それでも村の入り口には、人集りが出来ていた。
殆どの村人がやって来ては、揃って門の方を眺めている。
門の前には、豪華な馬車が二台も並んで停車している。車体の後方には深紅の旗を掲げており、白い鳥の紋章が描かれた。
これは、此処等一帯を納める領主が使う物である。
すると、その内の一台が揺れて、ワゴンの扉が開くと、中からジョンドが降りてきた。
彼は地面に足をつけると、大きく背中を伸ばしていた。
「おはようございます。」
そこへサーラが挨拶しながら、歩いて側までやってきた。因みに背中には、まだ寝ているアリサを抱っこ紐で結んで、背負っている。
やや遅れて、ロンドも必死な表情で後を追ってくる。両手には、旅の荷物で膨らんだ鞄を持っており、重そうにしている。
ジョンドも振り返ると、二人の存在に気がつき、一礼してから挨拶を返してきた。
「おはようございます。…サーラ様、アリサ様、ロンド様。…お迎えに参りました。」
「「よろしくお願いします。」」
と、親子は揃って言いながら、頭を下げる。さらに顔をあげると、
すかさずジョンドが「では、此方です。」と手で指し示し、後ろのワゴンの方へと促してくる。
すぐに親子は指示に従った。まず先にロンドが扉を潜り抜けて、乗車するや否や座席に荷物を置き、向かい側の席に勢いよく腰かける。
サーラも続いて側に来て、アリサを胸の前で抱き抱えると、隣の席に座ったのだった。




