エピローグ 新しい家族と、赤ん坊の名前。 6
やがて村人達は、期待の眼差しを向ける。
その様子を村長は気にも止めずに、少し考えを巡らせると、何かを思い付いた。すぐさまサーラ達の方に向き直ると、
「…ならば、…お主らの名前から頭一文字ずつ頂戴して、【アリサ】と名付けよう。…」
と宣言したのだった。
するとアニタとサーラは「「おぉ!」」と感嘆の声を漏らす。
「アリサですか。…いいですね。」
と、リリャーも呟いた。
「そうだね。」
「可愛い名前じゃ。」
「この三人の名前とは、にくいね。」
さらに村人達も納得したようである。全員が口々に称賛し、やがて喝采を挙げて、惜しみ無い拍手を送っていた。
辺りは一気に、お祝いの雰囲気に包まれていた。
ふとサーラも動き出す。すぐに赤ん坊、ーーアリサを、たかいたかいすると、愛おしそうに見つめだしながら、囁く様な声で独り言を呟く。
「…良かったね。…これから皆と沢山、楽しい事をしましょう。…美味しい料理で、お腹一杯になるまで、一緒に食べようね。」
その直後に、アリサは満面の笑みを浮かべていた。太陽の光を背にしても、負けない程の眩しさを放ち、頬を赤く染めながら顔をほころばせる。周りの言葉の意味を理解しているかは定かではないも、この場の誰よりも幸せそうだと思われる。
そうして、村に新たな家族が増えたのだった。
※※※
それから数日して、領主達がリリャーを馬車で迎えに来ると、【ネオマルフィア】に向けて出立していった。
ついでにアニタも同乗していく。
朝から村人は総出で村の門に集まっていた。
全員が馬車を見送っており、
「また、来いよ!」
「…アリサちゃんも、此処で待ってるからね。」
と大きな声で言いながら、誰も彼もが手を振って、別れを惜しみつつ再会を約束していた。
そんな様子に、アニタとリリャーも口元を綻ばせ、嬉しさを噛み締めていたのだった。




