エピローグ 新しい家族と、赤ん坊の名前。 5
次の瞬間から、村人達は嬉々として、一斉に喋りだす。
各々が口々に候補となる名前を述べており、討論を白熱させていく。
「それなら、…キャサリンなんて、どうかい?」
「いや、…アマンダだろう。」
「アニシアちゃん、はどうじゃ?」
「ケリー、」
「それは、あたしの名前だろう。」
「いいじゃないか、被ったって。」
「アメルダ」「メアリー」「ルカ」「アリス」「アイリス」
しかし、それでも一向に決まる気配はない。
リリャーは数々の意見に考えが追い付かず、思考が定まらない。今にも目を回しそうである。
サーラとアニタも、悩む様な仕草をしていた。
その後も同じ様な光景が続き、繰り返されていく。
やがて村人の誰かが痺れを切らして、
「もう、村長夫婦に託そうぜ。」
と周囲の人々に投げ掛けた。
すると村人の内の一人が駆け出していく。向かったのは、村長の自宅のある方角だ。
暫くすると、その人が村長を伴いながら、戻ってきた。
「村長、早く早く。」
「わかっとるわい、…全部わかっとるから、そう急かすな!」
と、村長も文句を言いつつも、話に加わっていく。既に粗方の事情を聞いているようだった。




