表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
133/280

7話 思い出のアップルパイ 19

 ※※※

 

 ようやくしてリリャーは我に返る。ふと気がつけば、両目から涙が頬を伝い、止めどなく溢れ出てきていた。もはや我慢の限界を迎えており、次第に嗚咽を漏らしながら、独り言の様に身の上話を話を喋りだした。

 「私、…幼い頃から身寄りがなくて、ずっと自分の家族を持ちたいと夢見てました。…失敗や迷惑かけるのも多かったけど、必死に働きました。…職場の店主のマリーさんに支えて貰って、なんとか慎ましくも日々を過ごしていました。…そしたら、ある日、生まれて初めて男性の方を好きになったんです。」

 「うん。うん。…そうなのかい。…」と、ばあ様が相槌を打っていた。

 領主達は話に聞き入っていく。なんとも言えない表情だ。

 「私達はすぐに付き合い、愛しあいました。…あの人は最初は凄く情熱的で優しい人だったのです。…でも私との間に子供が生れた途端に、別の女性と一緒に姿を消しました。…その事が私は信じられなくて不安になり、マリーお婆さんに助けを求めました。…そうしたら、同じ時期にお婆さんも急に亡くなってしまって。…もう私は何がなんだか分からなくて、…気がついた時には、赤子を連れて馬車の荷台に乗ってました。」

 「それで、この辺りを転々としてたのか。…」

 「しかし、なんだって、またそんな事を?」

 「男連中は黙ってな。…子供生んだばかりで精神的に落ち着かないなか、そんな事になったらパニックにもなるさね。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ