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７話　思い出のアップルパイ　１４

　リリャーは訳が解らず、呆然としながらサーラを見つめている。

　逆にアニタは、思わず噴き出していた。目の前の様子に、なんとなく懐かしさを感じている。

　さらにはサーラも、満面の笑顔を浮かべながら、「大丈夫じゃよ。」とだけ呟いたら、

　「サーラ、お鍋の用意出来たよ。」

　「あ、はーい！…」

　と、ケリーに呼ばれたのに気がついた。続けて作業台からりんごの乗った皿を持ち出すと、今度は釜戸の方に移動して次の作業に移りだす。

　ケリーも、行程を確認してきた。

　「次は、コンポートとジャムだったかい？」

　「…うん。えっとね、…」

　とサーラは、目の前の二つの釜戸、ーーそれぞれの口には鍋が設置されている。ーに向き合い、徐に鍋の中に材料入れて、火にかけていく。

　片方には水を張って、八等分のりんごと、蜂蜜(先程に商人から貰ったやつ)を加え、弱火で煮ている。

　もう片方には、細切れのりんごや蜂蜜だけを入れると、中火で煮ていく。たまに木のヘラで鍋の中身を混ぜながら、表面に出た灰汁をお玉で取っていく。

　そのまま二つの鍋を、じっくりと煮続けていく。ケリーも手が足りない部分を、補いつつ作業を手伝う。

　やがて辺りに甘い匂いが立ち込めた。

　その頃には、りんごのコンポートと、りんごのジャムが完成したのだ。