7話 思い出のアップルパイ 3
今度は「何さ?」とアニタが代表して、問いかける。やや無愛想な物言いである。
隣にいるサーラは、ハラハラしながら見守りだす。
対してサーディンは気にも止めずに、周りを見回しながら、悲観的な視線を送ってくる。
それが村人達は不思議で仕方なかった。各々が一瞬だけ互いに顔を見合わせている。
やがてエピカが意を決した様に頷くと、話しかけてきた。
「皆さん。…リリャーさんの為に、御協力して頂くのは嬉しいです。…しかし、これ以上は、…お気持ちばかりで大丈夫ですから。」
「は?…」
と、誰か呟いた。その言葉を聞いても、理解出来ない様である。
周りの人達も次第に動揺していく。
「どうして?」
サーラも、すぐにエピカの目の前で聞き返す。
やがて二人は話をしだした。
「サーラちゃん。…これはね、私達側の家族が起こした問題なのよ。…部外者である村の皆さんには、迷惑はかけられないわ。」
「…め、迷惑なんかじゃないし。…」
「無理してるんじゃない?」
「無理じゃないもん!」
「そうさ。…それに、家族の問題なら、…この赤ちゃんの家族みたいなもんさね、…私達だって。…なんとか、お母さんに元気になってもらわないと思っているんだよ。」
すると途中で、ケリーも前に出てきて、意見を言いだす。
「あぁ、そうだよ。…あたしだって、リリャーの家族みたいなもんさ。…だから、手を尽くすんだ。」
とアニタも続け様に、ハッキリと告げる。
さらに村人達も同意する様に、頷いていた。




