間章 驚愕な話 15
そうして場所は変わり、此処は支部の飲食スペースである。
テーブルには、疎らに人がいる状態だ。
なんとなく普段よりも人の数は少なく、静かな雰囲気に包まれている。
一番端の席には、アニタが座っている。険しい表情で首を傾げながら、腕組みしつつ思考を巡らせているみたいだ。
そんな彼女の側へと、ケリーがやって来る。手には水の入ったコップを持っており、テーブルの天板に置くと、話しかけてきた。
「これでも飲んで落ち着きな。…まだ諦めきれないのかい?」
「どうしても、なんとかしてあげたくて、…何か方法がないかと。」
とアニタは答えつつ、すぐにまた考え事に没頭する。
ケリーも、呆れた様に溜め息を吐くも、次第に自身も考えを巡らせていた。
「仕方ない子だね。」
「アニタさーん、ケリーさーん!!」
すると同時に、控え室の扉が勢いよく開き、サーラが飛び出してきた。
周囲の人々は驚き、視線を向けてしまう。
アニタも気がつき、振り向く。
やや遅れてケリーも、問いかけた。
「ど、どうしたんだい?」
「アップルパイ作るの手伝ってほしいのじゃ!…」
するとサーラは間髪入れずに、お願いを言ってきた。
「「はぁ?!」」
ほぼ同時に、アニタは間抜けな声を漏らして固まった。
同じくケリーも目を点にして、戸惑う。
二人はサーラの言葉を聞き、あまりの突拍子のなさに、暫く理解が追い付かなかったのだった。




